こんなことってあるんだなぁ――という話です。
読者の皆さまもご存じでしょうが、アメリカ合衆国のあのナンシー・ペロシ下院議長が日本を訪問した後台湾を訪問する――という報道が出ていました。
これに慌てたのが韓国です。
訪日はあって訪韓がないとスグに「外交惨事」とか言い出す
合衆国の要人が訪日はするけど訪韓はしない――となるとすぐに「外交惨事」だなどと韓国メディアが報じます。
実際、2022年04月07日には『中央日報(日本語版)』に「米下院議長、25年ぶりに台湾行き…『訪日ナンシー・ペロシ議長、韓国日程取り消し』」という記事が出ました。
記事のネタ元は日本メディア『フジテレビ』ですが、『中央日報(日本語版)』は「ペロシ氏は当初訪韓予定だったが、台湾に方向を決めて訪韓は取り消しになったとフジテレビは付け加えた」と書きました。
⇒参照:引用元:『中央日報(日本語版)』「米下院議長、25年ぶりに台湾行き…『訪日ナンシー・ペロシ議長、韓国日程取り消し』」
韓国の規準からすれば外交惨事かもしれませんが、これは致し方ありません。なにせロシアが無法にもウクライナに侵攻したので、中国も同様に台湾に侵攻しないとも限りません。
北朝鮮にはミサイルで挑発はできても南進するような力はないので、合衆国からすれば台湾の方が焦眉の急です。ペロシ下院議長も訪韓よりも訪台を選択するでしょう。
この合衆国の動きについて「台湾も中国の一部」の立場を取る中国共産党は、あの王毅外相自身が非難の声を上げていました(以下は中国外交部のプレスリリース)。
王毅、ペロシ米下院議長の訪台に厳しい姿勢で臨む
2022年4月7日、王毅国務委員兼外相は、フランス大統領府外交顧問のフランソワ・ボネ氏との電話会談で、ナンシー・ペロシ合衆国下院議長が台湾を訪問するというメディア報道について中国の厳粛な立場を表明した。
王毅は、現在の国際情勢が混迷を深めていると指摘した。
合衆国はウクライナ問題では一国の主権と領土の尊重を強調したが、台湾問題では「一つの中国」のレッドラインを露骨に踏んでおり、露骨なダブルスタンダードと言える。
一国の要人である合衆国下院議長が故意に台湾を訪問することは、中国の主権に対する悪質な挑発であり、中国の内政に対する重大な干渉であり、極めて危険な政治的シグナルを外部に発信することになる。
もし合衆国側が独自の道を歩もうとするならば、中国は断固として対応し、全ての結果は合衆国側が負担することになる。
王毅外相は「中国は断固として対応し、全ての結果は合衆国側が負担することになる」と述べていますが、これは毎度おなじみの恫喝。合衆国はもうこんな脅しはスルーしています。
ところが……意外なことが起こったのです。
ペロシさんが罹患してスケジュールがなしに!
不幸なことにペロシ下院議長がコロナに罹患してしまい、訪日スケジュール自体が延期になってしまいました。
この延期発表を受けて、中国外交部のあの趙立堅報道官がいらんことを言っています。以下の外交部のプレスリリースをご覧ください。
ブルームバーグ:
ナンシー・ペロシ合衆国下院議長のがコロナウイルスのために台湾を訪問できません。これについての報道官のコメントは?趙立堅:
中国は最近、ペロシ議長の台湾訪問について明確な立場を表明した。中国当局はまた、合衆国側に厳粛な表明を行った。コロナウイルスに感染したペロシ下院議長に哀悼の意を表し、彼女が迅速に回復することを願っています。
彼女がすべきだったのは、訪問を延期するのではなく、すぐにキャンセルすることでした。
延期ではなく、キャンセルすべきだったと述べています。こういうのを木で鼻を括ったような対応といいます。
――というわけで、韓国は外交惨事を避けることができました。キャンセルではなく延期ですから、スケジュールが尹錫悦(ユン・ソギョル)次期政権成立後になるのであれば、もしかしたらペロシ下院議長も訪韓するかもしれません。
ペロシ議長の快癒を心より祈念申し上げます。
(吉田ハンチング@dcp)