2022年04月15日、韓国政府がようやく「『CPTPP』加盟申請を出すぞ!」と決定しました。
委員長を務める洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官の下、外交部・農林畜産食品部・産業通商資源部部・環境部・国土部・海洋水産部・中小ベンチャー企業部の長官が参集。「第228回対外経済大臣会議」が開催され、「『CPTPP』加入推進計画」が話し合われました。
以下は、韓国企画財政部が出したプレスリリースです。
□企画財政部は、洪南期副首相兼企画財政部長官主宰として「第228回対外経済大臣会議」を開催し、
○過去04月08日(金)第6次対外経済安全保障戦略会議で議論した「『CPTPP』加盟推進計画」を議決した。
政府は『CPTPP』加盟申請に関連した、これまでの各界意見収束および経済的効果分析結果を基に、推進計画を設け、今後加盟申請に先立ち、国会報告など関連手続きを忠実に履行する一方、
○今後交渉が推進される場合、農水産物・中小製造業などの分野での繊細な問題を交渉に最大限反映し、国内補完対策も交渉結果に応じて忠実に設け、国民の健康と安全が侵害されないように積極的に対応していく計画である。
というわけで、やっと『CPTPP』加盟を推進するという議決が行われました。いよいよ「こちらへ来る」ので日本も対応策を講じなければなりません。
注目は「国内補完対策も交渉結果に応じて忠実に設け」という部分です。
韓国では農水産部門での『CPTPP』加盟への抵抗が大きいのです。『CPTPP』ルールでは「政府からの補助金」について厳しい目を向けています。「フェアな競争」を促進することを目標としているからです。
そのため特に水産部門で「補助金撤廃がされたら困る」という声が強いのです。
上掲の過去記事でもご紹介したとおり、「『CPTPP』に加盟する場合、最も懸念される部分は『水産補助金交渉』」と皆さん口をそろえるのです。
農業、漁業に従事する皆さんの不満をいかに解消するのかが韓国政府にとっては焦点になるでしょう(そもそも可能なのかという話なのですが)。
また、韓国の場合、『CPTPP』加入によって企業が大きな打撃を受ける可能性があります。日本の工業製品に関する関税が撤廃されるからです(『CPTPP』は99%の品目において関税が撤廃されるという大きな経済同盟)。
これまた先にご紹介しましたが、韓国は結局「日本製品が国内に津波のように押し寄せる」ことを恐れて日本とのFTA(2国間自由貿易協定)を締結することができなかった――という過去があります。
それなのに、今になって『CPTPP』に加盟しようというのです。
韓国政府には「関税を取っ払っても日本の工業製品には負けない」という自信が本当にあるのでしょうか。そして補助金をなくしても。
いずれにせよ、韓国政府は加盟申請を推進すると正式に議決しました。日本政府がどのように対処するのかに注目いたしましょう。
※『CPTTP』は「Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership」の略で「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」。
(吉田ハンチング@dcp)