韓国の「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」は、いわゆる慰安婦問題において日本を糾弾してきた市民団体です。
問題解決のためとして寄附金を集めてきました。
興味深いことに、その前にあった「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」、略称『挺隊協』は『正義連』に統合されて現在に至るのですが、統合された後も『挺対協』名義で寄附金を集めているのです。
この集めたお金が問題です。
2020年05月07日、元慰安婦という李容洙(イ・ヨンス)さんが、『正義連』の尹美香(ユン・ミヒャン)現国会議員に対して反旗を翻す記者会見を行いました(当時は尹さんが国会議員になる前)。
代表的な発言を取り上げてみます。
「寄付金をどこに使っているのか分かりません」
「30年間だまされるだけだまされ、利用されるだけされたのです」
「芸は熊がやり、お金はちがう奴が稼ぐのか」
「デモをしてお金を集め何をするのですか。(被害者には)何も使っていません」
「お金を稼ぐ」という表現に引っ掛かりますが、ともあれ『正義連』のいうとおり30年間芸をしてきたのに、自分にはお金は入ってこなかった――とう主旨です。
李容洙(イ・ヨンス)さんは『正義連』のいわば「顔」ともいえる存在でしたから、このような発言は韓国社会に衝撃を与えました。
では、『挺対協』『正義連』はいったいいくら寄付を集めたのでしょうか。
これは西岡力先生が「韓国の慰安婦運動の『内紛』─ 元慰安婦の挺対協批判の持つ意味」という論文にまとめていらっしゃいます。
データ部分を引用すると以下のようになります(スマホの方は表組をスクロールできます)。
『正義連』名義 『挺対協』名義 計 2014年 3億7,786万ウォン 3億7,786万ウォン 2015年 4億8,180万ウォン 4億8,180万ウォン 2016年 12億8,806万ウォン 5億6,498万ウォン 18億5,304万ウォン 2017年 15億7,554万ウォン 8億2,106万ウォン 23億9,660万ウォン 2018年 12億2,696万ウォン 5億1,839万ウォン 17億4,535万ウォン 2019年 8億2,550万ウォン 2億9,174万ウォン 11億1,724万ウォン 合計 49億1,606万ウォン 30億5,583万ウォン 79億7,189万ウォン
西岡先生は、2014~2019年の6年間で、『正義連』名義で計「49億1,606万ウォン」、『挺対協』名義で計「30億5,583万ウォン」、合計「79億7,189ウォン」の寄附金を集めたと指摘していらっしゃいます。
「デモをしてお金を集め何をするのですか。(被害者には)何も使っていません」という前掲の李容洙(イ・ヨンス)さんの発言の無理はないのです。
というのは、元慰安婦という人に支給されたのは「9億2,017万ウォン」のみということが分かっています。
「79億7,189億ウォン」のわずか「11.5%」に過ぎません。
集めた寄附金の残り「70億5,172万ウォン」(88.5%)は何に使われたのでしょうか? どこにいったのでしょうか?
『正義連』は支出についてほとんど明らかにしていないのです。
尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権になって市民団体への監査が行われ、もし『挺対協』『正義連』がその対象となったら、どんな実態が明らかになるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)