アメリカ合衆国がインフレ対策で金融引き締め方向で動いています。お金の流通量を減らして、お金の相対的な価値を上げるためです。
ご多分に漏れず、中国もドが付くインフレなのですが、2022年04月15日、中央銀行『中国人民銀行』は「04月25日から預金準備率を0.25%引き下げる」と公表しました。
以下は『中国人民銀行』が出したプレスリリースです(面倒くさい方は飛ばしても大丈夫です)。
『中国人民銀行』は、実体経済の発展を支援し、総合金融コストの着実な引き下げを促進するため、2022年4月25日に金融機関の預金準備率を0.25%引き下げることを決定した(すでに5%の準備率を実施している金融機関を除く)。
中小企業や「三農」への支援を強化するため、省をまたいで営業していない都市商業銀行と預金準備率が5%を超える農業商業銀行には、預金準備率の0.25%引き下げに加え、さらに0.25%の引き下げを実施する。
この引き下げにより、金融機関の加重平均預金準備率は8.1%となる。
『中国人民銀行』は、安定の原則を堅持し、安定的に進歩を求め、慎重な金融政策を引き続き実施し、洪水を避け、内外の要因のバランスを取り、金融政策手段の両機能をよりよく発揮し、流動性を適度に豊富に保ち、貨幣供給と社会金融規模の成長率を名目経済成長率とほぼ一致させて、市場活力を刺激し、重点分野と弱点の金融を支え、高品質の発展と供給側構造改革に有利な環境を作りたいとしている。
これにより、市場の活力を刺激し、重点分野や弱点への資金供給を支援し、質の高い発展や供給側の構造改革に適した金融・財政環境を整えることができる。 (終了)
この「預金準備」というのは、銀行が『中国人民銀行』に預けておかなければならないお金です。その銀行にお金が足りなくなるといった事態にならないよう、顧客から受け入れた預金の一定割合の金額を『中国人民銀行』の当座預金口座に預け入れるのです。
この「一定割合」というのが「預金準備率」です。
それを引き下げるということは、銀行が「その分のお金を貸し出すことができる」ことを意味します。インフレ対策でお金の流通量を絞らなければならないのに、お金をまくのを促す決定をしたわけです。
『中国人民銀行』によれば解放される資金は「約5,300億元」(約10兆5,152億円)。巨額の資金供給です。
なぜこんな決定をしたかというと、インフレ退治よりもお金をまいて流動性を高めないといけない、つまり景気が悪い状況だからです。
中国経済の実態は日本で報じられるよりもずっと悪いのです。
(吉田ハンチング@dcp)