韓国で注目されている「検察から捜査権を完全に剥奪する法案」。これは先にご紹介したとおり、「検察庁法改正案」「刑事訴訟法改正案」の2つからなります。
政権与党『共に民主党』の政治的策術によって2022年04月30日に「検察庁法改正案」が国会本会議を通過。「刑事訴訟法改正案」は本日05月03日に通過しました。文在寅大統領はこの法律を公布。
公布4カ月後となる09月から施行されます。
本日、文大統領は任期中最後となる国務会議を開催。今回の「検察から捜査権を完全に剥奪する法案」について、以下のように述べています。
青瓦台・大統領府が公表したプレスリリースから引用します。
(前略)
国会で通過して政府に公布を要請した検察庁法や刑事訴訟法改正案など検察改革関連法案について、韓国政府の任期の中に責任を持って審議して議決するためのものです。韓国政府はろうそく政府という時代的要請により、権力機関の改革を揺らぐことなく推進し、高所公職者捜査処の設置、検察・警察の捜査権調整、自治警察制施行と国家捜査本部設置、国政院改革など権力機関の制度改革に大きな進展を遂げました。
牽制とバランス、民主的統制の原理に応じて権力機関が本来の役割を充実させるようにして、国民の基本権を保障するためです。
このような努力と成果にもかかわらず、検察捜査の政治的中立性と公平性、選択的定義に対する懸念が依然解消されておらず、国民の信頼を得るのに十分ではないという評価がありました。
これが国会が捜査と起訴の分離に一歩進んだ理由だと思います。
(中略)
立法手続においては、国会議長の仲裁により与野間合意がなされたが、合意が破棄され、立法過程に少なくない苦痛を経験した残念さがあります。
国民の人生と人権に大きな影響を及ぼすだけに、国務委員は省庁を離れ、常識と国民の視点で格差なく討論して審議してください。
(後略)⇒参照・引用元:『韓国 大統領府』公式サイト「第20回国務会議での発言」
検察改革の名の下に、「国民のため」という美名の下に、さんざん好き放題に検察の権力を削ぎ、大統領に権限を集中させた揚げ句がこれです。
「自分、および自分の政権が行ったことを検察に捜査させない」という保身目的で、政治的策術を弄して法律を強行採決させ、いわば「文在寅保護法」を公布するというのはいかがな心境でしょうか。
法律が成立しても尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権の反撃が止められるわけではありません。新旧権力の激突はこれからも続きます。この法律成立が遺恨となってより激しいものになる可能性が高まったともいえます。
05月10日以降の司法の動きに要注目です。
(吉田ハンチング@dcp)