インドネシアで開催されたG20財務相会議に韓国の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官も出席していたのですが、2022年07月16日に興味深い発言を行いました。
以下に発言を引用します。
「今後の財政需要が持続的に拡大すると予想されており、外国人の韓国国債市場投資を誘引する必要がある」
「国債需要の基盤を拡大し、市場を先進化するために世界国債指数(WGBI)加入も積極的に考慮している」
例の民生安定化プランの「125兆ウォン + α」の財源をどうするのかも念頭に置いた発言だと思われますが、財政支出が拡大するので外国人投資家に国債を買ってもらう必要がある――と明言しました。
そのために、韓国政府は韓国債の非課税措置を取る気です。
WGBIは「World Government Bond Inde」の略で「世界国債インデックス」と訳されます。『FTSE Russel』が提供する各国債の指標です。韓国債はこの中に入っていません。
つまり、韓国政府の思惑はこうです。
韓国債の取引において非課税措置することで、外国人投資家の資金を呼び込み、これによってWGBIに入れれば、投資資金はさらに大きくなる。
資金流入が大きくなれば、外貨からウォンへの両替量も大きくなるので、ウォン安進行を止めるのにも役立つ。ウォン高方向に向かえば、輸入において有利になり、インフレも止めやすくなる――というわけです。
いわば、一石三鳥狙いなわけです。
実は、韓国政府は韓国債取引における非課税措置をいうのを、過去に行ったことがあるのです。2009年05月~2010年12月に行われました。
しかし、この措置は撤回されました。韓国政府の思惑とは異なって、資本流出の流れが大きくなってしまったのでやめたのです。
今回も韓国政府の思惑どおりうまくいくとは限りません。先にご紹介したとおり、外国人投資家は06月時点で韓国の証券市場から資金流出に転じているからです。このような措置で外国人投資家の資金が戻ってくるでしょうか。
いずれにせよ確かなのは、韓国政府がこのような対策を打ち出さなければならないほど、外国からの資金を必要としている、という事実です。
確か、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は「赤字国債の発行を増やさない」というのも公約としていたはずですが、そんなことを言ってはいられない――ということなのでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)