韓国は文在寅前大統領のトンチンカンな経済政策のおかげで最低賃金が異常なほど上昇しました。
このせいで低所得の人ほど影響を受け、雇用が大きく損なわれました。尹錫悦(ユン・ソギョル)政権はその割を食っています。
↑文政権が始まった2017年を100として2023年は149%。6年で最低賃金は約1.5倍になったのです。2023年の「9,620ウォン」は尹錫悦(ユン・ソギョル)政権下で決まりました。
そもそも文政権の「所得主導経済」なる幻のせいですが、ここまで上昇してしまうと下げることは容易なことではありません。
2022年07月18日、『韓国経済研究院』(略称「KERI」)が興味深いリポートを出しています。
タイトルが「最低賃金制無用論」というリポートです。つまり、「最低賃金制なんかやめたらいいのに」というのです。
リポートから一部を以下に引用します。
過去5年間、最低賃金のスピード引き上げで数多くの低賃金労働者が雇用を失い、食品・宿泊業、卸小売業など低賃金労働者が主に勤務する業種は人件費上昇で大打撃を受けた。
低賃金労働者の生計を保障しようとする元の趣旨とは異なり、最低賃金を高くして保護しようとする対象者が主に被害を受け、雇用大乱と分配惨事を経験した。
それでも最低賃金を引き上げなければならないという労働界の声は毎年高まっている。
最低賃金が引き上げられると、連鎖反応で高賃金労働者の賃金まで上がる恩恵を得ることができるからだ。
(中略)
規制された賃金は労働者の便益を減らし、新しい雇用の創出を妨げる。
第4次産業革命と雇用革命が現実化している時点で、最低賃金規制は廃止するのが適正であり、最低賃金制の没落は時代の流れといえる。
最低賃金制の廃止までには現実的に時間が必要になるだろうが、すぐに改善できる課題もある。
最低賃金制による弊害を少しでも減らすために、多様な雇用条件と市場所得を反映して最低賃金を業種別、地域別、企業規模別、年齢別などに区分して適用する必要がある。
雇用特性別の賃金水準を可能な細分化し、最低賃金をそれ別に適用すれば、それでも市場賃金の差を反映し、一括規制による歪曲を減らすことができる。
『韓国経済研究院』の分析によると、最低賃金を業種別にのみ差分適用しても、既存の最低賃金施行によるGDP減少分の約40%が改善することが示されている。
(後略)
⇒参照・引用元:『韓国経済研究院』公式サイト「最低賃金制無用論」
『KERI』は、そもそも最低賃金制は時流にそぐわず、廃止した方がいいと断じています。
そうはいってもスグには廃止できないだろうから、少なくとも「業種別、地域別、企業規模別、年齢別」などで差別化して最低賃金を運用したらどうだろうか、と提案しているのです。
『KERI』の試算によれば、最低賃金を異常に上げて減少したGDPの約40%ほどはそれでリカバリーできるとのこと。
文前政権のトンチンカンな経済政策さえなければ、このような工夫を提言することもなかったのですが、もうやってしまったことは仕方ありません。なんとか今からでも取り返しがつくような手を打っていくしかないのです。
「ホンマにロクでもないことしかしないな、あの文在寅という男は」――そんな感じでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)