注目の日韓首脳会談は、略式ではありますが電撃的に実現されました。
韓国大統領室が「開催する」としていた、もう一つの重要な「首脳会談」の方はどうなったでしょうか。
米韓首脳会談です。
「だめでした」という確報が大統領室からまだ出てはいませんが、結局正式会談は実現できなかった模様です。
ちょっと最終局面でのドタバタを追ってみましょう。
なんらかの方法ってなんだ
――そもそも20日(現地時間)の段階で「バイデン大統領がニューヨークの滞在日程を短縮する」という情報が出ていました。
そのためでしょう、以下のように韓国メディア『中央日報』では、21日(現地時間)に焦る大統領室関係者の様子が報じられていたのです。
大統領室は21日(現地時間)、米韓首脳会談に対して「なんらかの方法で行われるだろう」と明らかにした。
最大の関心事である韓日首脳会談についても「進展した状況が出たら説明する」とした。
(後略)
⇒参照・引用元:『中央日報』「대통령실 “한미회동 이뤄질 것…한일은 진전 있으면 밝히겠다”」
なんらかの方法ってなんだ――という話です。
この報道の後、日韓首脳会談の方は(恐らく日本側が妥協して)電撃的に行われたのですが、米韓首脳会談の方はバイデン大統領の時間を取ることができなかったのです。
で、どうしたかというと――バイデン大統領主催の会合に出掛けて、立ち話を行いました。
時間を報じているのは『WOW!Koera』で「約50秒間」としています。また、「出席予定者ではなかったが招待されたと大統領室関係者が明らかにした」と書いています。
安倍晋三首相は文在寅大統領の待ち伏せ(アンブッシュ)に遭って、袖を引っ張られ、無理やり「会談の体(てい)」を取られてしまいましたが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は自分からグイグイ行って、立ち話にねじ込みました。
「出待ち」ではなく、今度は「追っかけ」です。
文在寅さんと尹錫悦(ユン・ソギョル)さんの性格の違いまで象徴しているような話ですが、しかし、さすがにこの立ち話をもって「米韓首脳会談を実現!」とはならないでしょう。
大統領室の言い分が無茶苦茶
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領とバイデン大統領の首脳会談には、韓国内から「インフレ削減法(IRA)について交渉する」「通貨スワップについて交渉する」という2つの大きな期待がかかっていました。
韓国メディア『聯合ニュース』の記事によると、この2つをクリアしたと大統領室は言い張っている模様です。以下に記事の一部を引用します。
(前略)
大統領室は21日報道資料を通じて「ユン大統領は去る19日ロンドンで開かれたチャールズ3世英国王主催レセプション、21日米国ニューヨークで開かれたグローバルファンド第7次財政公約会議、同日バイデン大統領内外主催レセプションなどに出席したことをきっかけに、IRAについて協議した」と伝えた。
ロンドンでのレセプションで、ニューヨークでのグローバルファンド会議で、バイデン大統領レセプションで――と、ほとんど全て「すれ違っただけ」といってもいいような時間で、バイデン大統領とインフレ削減法について協議したというのです。
なんという強弁でしょうか。
さらに以下。
(前略)
尹大統領は、一連の出会いで合衆国のIRAと関連した韓国内の懸念を説明した後、「合衆国行政府がIRAを執行する過程で韓国側の懸念を解消できるように米韓間で緊密に協力しよう」と要請した。これにバイデン大統領は「韓国側の懸念をよく知っている」とし「米韓間で続けて真剣な協議を続けていこう」と答えたと大統領室は伝えた。
米韓通貨スワップも迂回的に議論されたものと見られる。
(後略)
バイデン大統領から「インフレ削減法について緊密に協力していこう」という回答をもらい、「米韓通貨スワップも迂回的に議論した」ことになっています(迂回的にってなんだ)。
本当でしょうか。筆者などにはとうてい信じられません。
二人には「すれ違い通信」の機能でも備わっているのでしょうか。
後になって、ホワイトハウスから「そんなことはありませんでした」と否定されたらどうするつもりなのでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)