韓国金融当局が「困りすぎ」。打てる手は「張り子のトラの再稼働」に「空売り全面禁止」

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Money1では連日ご紹介していますが、KOSPIは下落を続けて低迷しています。

週足でも見ると以下のようになります(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。

2020年03月のコロナ禍の天底から上昇し、2021年06月を天井に下落トレンドに転じます。現在も下落トレンドが継続しているものと考えられます。

フィボナッチリトレースメントを使ってみると半値戻しを超え、ちょうど61.8%戻しのラインまで達しています(2022年09月29日時点)。

これを抜かれるとKOSPIは「2,000」を割ることも想定しなければならなくなります。

韓国は今あっちでもこっちでも火がついていますが、株式市場も崖っぷちな状況です。

そこで、(よせばいいのに)またぞろ「空売り禁止」なんて話が出ているのです。

いつまでたっても先進国市場と認定されない

2022年09月28日、金融委員会は「金融市場合同点検会の開催」を開催しました(以下はプレスリリース)。

⇒参照・引用元:『韓国 金融委員会』「金融市場合同点検会の開催」

このプレスリリースには「空売り全面禁止を検討中」とは全く書かれていないのですが、韓国メディアには「検討中だ」という記事が出ています。

『中央日報』から引用すると、以下のような具合です。

(前略)
金融当局は株式市場の変動性がさらに大きくなる場合、空売り全面禁止のカードを切ることも検討している。

金融委員会は28日、金素英(キム・ソヨン)副委員長の主宰で金融市場合同点検会議を開きこうした案を話し合った。
(後略)

⇒参照・引用元:『中央日報』「韓国政府、市場に全方向対応…証券市場安定ファンド組成し債券市場に5兆ウォン投入」

上掲のとおり、韓国株式市場がマズイ状況なので気持ちは分からないでもありませんが、もし行った場合、これは韓国の市場の脆弱性と閉鎖性を世界的に喧伝することになるでしょう。

そもそも韓国株式市場は、2020年03月に行った全面空売り禁止措置から回復しておりません。いまだに一部空売り禁止なのです。

それをまた全面禁止にしようというのですから呆れる他ありません。

Money1では何度もご紹介していますが、韓国株式市場はいつまでたっても『MSCI』の分類において「先進国市場」になれませんが、その理由の一つを『MSCI』が「いつまで空売り禁止をやってるんだ」と挙げたのをもう忘れたのでしょうか。

まあ、そんな先進国の体(てい)を言っている場合ではない――ということでしょうが、それれにしても「なりふり構わぬ動き」になっています。

2020年の暴落時にもご紹介したことがありますが、空売り禁止を行っても下落を止めることは基本できません。大賢人エミン・ユルマズさんによれば、「下落スピードを緩める効果はある」とのこと。

「空売り全面禁止」もばかばかしい話ですが、上掲の金融委員会のプレスリリースには非常に傑作な一文があるのです。

全く役に立たなかったものを再稼働するつもりだ

以下の部分です。

(前略)
□本日の会合で、金素英(キム・ソヨン)副委員長は、証券市場安定ファンドの再稼働など、金融市場の変動性緩和措置を適時に実行できるよう準備することを要請しました。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国 金融委員会』「金融市場合同点検会の開催」

証券市場安定ファンドの再稼働」です!

信じられません。Money1にずっとお付き合いを賜っている読者の方はご存じでしょうが、これは2020年コロナ禍で株価が暴落した際に、市場安定対策として文在寅前大統領が高らかに組成を宣言した――いわくつきの基金です。

簡単にいえば、お金を突っ込んで株式を買い支えるためのファンドです。

文在寅前大統領は「10兆ウォン規模」と誇ったのですが、毎日毎日KOSPIを見ている人にとっては「少なっ!」と鼻で笑うような金額です。

しかもスゴイのは、別に政府がお金を出してくれるわけじゃないのです。証券会社や金融機関にお金を出せという話でした。

こういうのを公的機関によるゆすり・たかリというのではないでしょうか。

――で、この証券市場安定基金にお金は集まったのか?

もちろん「NO」です。(当初の目標10兆ウォンから)「10兆7,000億ウォン」に規模は膨らませたものの、集めたお金は「1兆2,000億ウォン」(2020年07月02日報道時点)。

そりゃそうでしょう。たとえ10兆あろうが株式市場の下落を支えることなんてできませんから、プロであればあるほど出すのがばかばかしい話なのです。

で、この証券市場安定基金は役に立ったのか?

もちろん、答えは「NO」です。

曲がりなりにも「1兆2,000億ウォン」集まった時点ですでに、暴落からは回復トレンドとなっており、投入する機会も(恐らく)なかったのです。

つまり、張り子のトラを作ってみたものの、それを使う場所もなかったのです。

この世にもあほらしい「基金」を再稼働するというのです。

韓国金融当局がいかに打つ手がないのかを象徴する話だとは思われませんか?

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(吉田ハンチング@dcp)

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