2022年11月29日、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は予定どおり国務会議を開催し、韓国を物流大乱に陥れている『民主労総公共運輸労組貨物連帯本部』(貨物連帯)の無期限ストライキに対して、「業務開始命令」※を下すことを決めました。
貨物自動車運輸事業法第14条を根拠とする。
運送事業者や運輸従事者が正当な事由なく貨物運送を集団で拒否し、国家経済に深刻な懸念を招く場合、国土部長官が業務開始命令を下すことができる。
国務会の審議を経て業務開始命令が発動されれば、運輸従事者は直ちに業務に復帰しなければならない。
拒否する場合、30日間の免許停止処分、3年以下の懲役または3,000万ウォン以下の罰金という刑事処分を科すことができる。
何度もご紹介しますが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領はこのストライキを「集団輸送拒否」と呼び、労働運動とは認めておりません。
この決断について、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は以下のように述べています。発言を韓国メディアから引用します。
「セメント、鉄鋼などの物流が中断され、全国の建築現場と生産現場が止まり、韓国産業基盤が崩壊するかもしれない状況」
「国民の日常生活まで脅かされている」
「自分たちの利益を貫徹するために国民の生活と国家経済を見捨てるようなことは、いかなる名分も正当性もない」
「特に他の輸送車両の進入、出発を妨害し、輸送拒否に参加しない仲間に対して鉄玉を撃ち込んで攻撃※したりするのは容認できない犯罪行為だ」
※パチンコ玉のような鉄球を発射し、警察がすでに捜査を行っています。
「貨物連帯の皆さんは、取り返しのつかないことになる前に各自の持ち場に復帰してほしい」
「私の任期中では労使法治主義をしっかり確立し、不法とは絶対に妥協しないだろう」
「不法行為の責任は最後まで厳正に問う」
自分の任期中は不法な行為に絶対妥協しないと言い切りました。また、不法行為の責任を最後まで問う、と。
今回の業務開始命令の対象となるのは、まず工場にセメントを運ぶ「バルクセメントトレーラー(BCT)」で3,000台余りです。
上記のとおり、この業務開始命令は国土交通部長官、すなわち元喜龍(ウォン・ヒリョン)さんが下すことになります。
法律の規定上、命令に従わない場合には事業免許や車両運行許可が取り消されます。
さて、貨物連帯側はおとなしく従うでしょうか。もし、従わない場合には、尹政権は警察などを治安維持のために投入するでしょうか。
いうまでもなく、貨物連帯側は左派支持勢力です。左派支持勢力は前文在寅政権など進歩系の支持母体であり、現在の保守より尹政権を倒したく思っています。
気になるのは、この貨物連帯の自称ストライキについて、民労総傘下鉄道・地下鉄労組らが「連帯ストライキ」を予告したことです。
野党『共に民主党』は「尹錫悦(ユン・ソギョル)政権の強硬一辺倒な対応はいかん」などと述べているのです。
邪推かもしれませんが、今回の騒動を大事にして尹錫悦(ユン・ソギョル)政権を揺さぶり、あわよくば倒閣しようと目論んでいるのかもしれません。
もし、大事になった場合、治安部隊の投入 ⇒ けが人(あるいは死傷者) ⇒ ローソク集会 ⇒ 尹錫悦(ユン・ソギョル)弾劾 という絵図になっているのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)