2022年12月16日、日本政府は「敵基地攻撃能力」を有することを明記した「安保3文書」を閣議決定しました。
・国家安全保障戦略
・国家防衛戦略
・防衛力整備計画
「軍靴の音が聞こえる」というわけで、中国共産党はさっそく空母を持ち出して沖縄方面でパワープロジェクションを行い、斜め上の韓国では韓国メディアと市民団体が大騒ぎになっております。
韓国メディアでは「外交部は『朝鮮半島にミサイルを打ち込むような時には当然韓国の許可がいる』という認識だ」といった記事が出ていたのですが、肝心の外交部自身はこのようなプレスリリースは出していませんでした。
その後、「外交部はこの問題を日米韓の枠組みの中で議論するとしている」と報道が出ました。この後には、「弱腰だ」という反発を恐れたのか、元に戻って「やはり韓国の許可がいるという認識」という報道に転びました。
外交部の正式な態度はどうなのか?ですが、2022年12月20日、定例記者ブリーフィングで報道官が答えましたので、ご紹介します。
以下が韓国の外交部が出したプレスリリースの該当部分です。
<質問>
日本政府が「反撃能力保有」を明示した安全保障文書の改正に関連した質問です。「日本の反撃能力行使時に韓国政府と相談しなければならないのか?」が議論になっていますが、これに対する外交部の立場がどうなのか気になります。
(『ニューストマト』パク・ジュヨン記者)<回答>
最近、日本各議で採択された安保戦略文書で、日本憲法内の専守防衛の概念を変更せずに厳格な要件内で行使可能であるという内容が盛り込まれていることに注目しています。朝鮮半島を対象に反撃能力行使のような、朝鮮半島の安全保障と私たちの国益に重大な影響を及ぼす事案については、事前に私たちとの緊密な協議と同意が必ず必要だという立場です。
この事案に関連しては、今後の日米韓の安保協力の大きな枠組みで、後続の議論を続けることができると見ています。
上掲のとおり、韓国の外交部報道官は、日本が北朝鮮にミサイルを撃ち込む際には「事前に私たちとの緊密な協議と同意が必要だ」と明言しました。
韓国の立場としてはそうなのかもしれませんが、緊急時に韓国の同意を求めている時間などありませんので、いざというときは容赦なく撃ち込む必要があります。
また、韓国外交部は「日米韓の枠組みの中で議論が続けられる」という意見ですが、これは非常に難しいと見られます。なぜなら、アメリカ合衆国がノリノリだからです。
米国ノリノリである
合衆国ホワイトハウスは、日本政府の「安保3文書」を閣議決定を受けて、「Statement by National Security Advisor Jake Sullivan on Japan’s Historic National Security Strategy」(日本の歴史的な国家安全保障戦略に関するジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官の声明)というステートメントを出しており、次のように述べているのです。
今日、日本は、新しい国家安全保障戦略、国防戦略、国防整備計画の採択により、自由で開かれたインド太平洋を強化し、防衛するための大胆かつ歴史的な一歩を踏み出しました。
この戦略は、地域の平和と安定を支援するパートナーと同盟国の広く強力なコミュニティに対する岸田首相と日本国民のビジョンを示しています。
防衛投資を大幅に増やすという日本の目標は、日米同盟の強化と近代化にもつながる。
新しい戦略は、岸田首相の国際平和と核不拡散への深いコミットメントを強化するものであり、日本が国連安全保障理事会に参加し、G7を主催する 2023年に日本のリーダーシップを発揮するための土台を整えるものです。
ロシアが残忍な戦争を繰り広げている中、ウクライナへの支援を含め、岸田総理と日本のリーダーシップに感謝します。
我々は、我々と我々のパートナーが恒久的な平和、安定および繁栄を達成するのを助ける歴史的な新しい国家安全保障戦略について、岸田首相と日本国民に祝意を表する。
上掲のとおり、短い文章ながら日本に対して驚くほどの賛辞を送っています。
また「我々と我々のパートナーが恒久的な平和、安定および繁栄を達成するのを……」の「我々のパートナー」の中に韓国が入っているのであれば、韓国は日本の「安保3文書」について文句はいえないはずです。レッドチームであるなら別ですが。
韓国はブルーチームのリーダーである合衆国の言うことは聞くべきでしょう。
日米韓の枠組みで会談が行われたとしても、「韓国との協議が必要」などという話は歯牙にも掛けられないでしょう。また、日本政府も「韓国と協議しなければ」などとは考えていません。正面切って韓国には言わないでしょうけれども。
(吉田ハンチング@dcp)