韓国『サムスン電子』が子会社の『サムスンディスプレイ』から20兆ウォンを調達という件をご紹介しましたが、読者の方から「そんなに『サムスン電子』はお金に困っているのか?」というご質問を賜りましたので、本記事を制作しました。
結論からいえば「YES」。問題は手持ちのキャッシュです。
というのは、『サムスン電子』の貸借対照表を見ると、現金など流動性の高い資産は減少の一途をたどっているのです。以下をご覧ください。『サムスン電子』が公表した、2022年第4四半期の業績ハイライトです。
資産の部の「現金等の資産」を見ると、第3四半期から第4四半期にかけて「13兆5,920億ウォン」減少しています。
この「現金等」というのは「現金及び現金性資産、短期金融商品、短期償却後原価金融資産、長期定期預金など」と定義されているのですが、このうち「現金及び現金性資産、短期金融商品」を切り出してみると、もっと興味深いことが分かります。
第1~4四半期の推移は以下のようになるのです。
「現金及び現金性資産、短期金融商品」はスグに使える流動性の高い資産といえるでしょうが、第4Qにはわずか「3.9兆ウォン」しかありません(ただし連結ではなく個別)。
ここまでスグ使える現金性資産が減少してしまい、それでも半導体への投資は継続しないわけにもいかず……そのために子会社『サムスンディスプレイ』から内部留保金を根こそぎ借りることにしたのだと推測できます。
第4四半期には『サムスン電子』の業績はかなり傾きましたが、この現金性資産の減少はまさにその現れといえるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)