Money1でも先にご紹介したディバージェンスについて、韓国メディアでも報道が出ました。他の通貨と違ってウォンは脆弱だという話になっています。
↑ドルウォンのチャートにドルの強さを示す「DXY」を重ねたもの。2023年04月20日00:45現在(チャートは『Investing.com』より引用/日足)
ディバージェンスは分岐・逸脱という意味ですが、直近ではドル強が弱まっているというのにウォンが安くなっています。通常は、ドルが強まればウォンは安くなり、ドルが弱まればウォンが強くなるのが当然。
しかし、困ったことにウォンはドル弱方向とは逆行して進行し、今また少しドルが強くなる方向への動きを見せただけで急にウォン安が進行しています。
ディバージェンスが修正されるのはいいことでしょうが(常態に戻るといい意味で)、ボラティリティーが高まっているのが問題なのです。
『ヘラルド経済』の嘆き節は以下のような具合です。
「キングドル」、「ゴッドドル」と呼ばれた合衆国ドルの威勢が一段落したが、韓国のウォンだけが特に力を発揮できていない。
最近2日間だけでドルウォンの為替レートは20ウォン近く上昇した。
ドルの価値が下がる時は微動だにしなかったドルウォンの為替レートは、ドルがやや強まる様子を見せると急騰したのだ。
それだけボラティリティも大きくなった。
欧州のユーロや日本円、英国ポンドのような主要通貨とは別物だ。通常、ドルと似たような幅で動いていたことを考えると、異常な現象だ。
このようなウォンとドルのデカップリング(脱同調化)現象は、韓国内の景気減速に起因していると分析される。
グローバル経済の構造が以前と異なるため、為替レートの基本水準自体が変わる可能性があるという分析だ。
(中略)
だからといってドルが強気を示したわけでもない。
韓国銀行と『Bloomberg』、『Reuters(ロイター)』などによると、ドル指数は03月以降04月06日まで2.9%下落した。
同じ期間、
欧州ユーロ(3.3%)、
日本円(3.4%)
イギリスポンド(3.4%)とドルに対する価値は3%以上上昇した。
中国人民元(1.1%)
インドネシアルピア(2.3%)
ブラジルレアル(3.6%)など、新興国通貨も1~3%上昇した。ドル安による結果だ。
しかし、ドルに対するウォンの価値は0.3%上昇にとどまった。
他の国の通貨と比較すると、ウォンだけが力を発揮できていないということだ。
ハードカレンシーどころか、新興国通貨と比較しても、ウォンだけがドル弱になっても異常に価値が上がらないという現実なのです。
また、次の数字も面白いのです。
(前略)
昨年02月、ドルが強勢を振るっていた当時、ウォンは主要国通貨と比較して最も大きな幅の下落を見せた。ドルの価値が2.7%上昇した時、ウォンの価値はなんと6.9%も下落し、為替レートは1,323.00ウォン(02月27日)まで上昇した。
韓国ウォンだけが、上がるべき時には小さくしか上がらず、下げる時は大きく下がったのだ。
さらに、ドルウォンレートの変動性も大きくなる傾向にある。
ドルウォンレートの日次平均変動率は、
「01月:0.32%」から「02月:0.62%」、「03月:0.66%」に拡大した。
03月時点の変動率は、
合衆国(0.45%)
日本(0.59%)
ユーロ(0.54%)
イギリス(0.55%)
中国(0.27%)
インド(0.22%)など主要国より高い水準だ。
ウォンの01~03月の平均変動率は0.54%で、ドルウォンレートが1,400ウォン台まで高騰した昨年(0.50%)よりも大きくなった。
(後略)
中国は完全な為替操作国ですので、比べても仕方ありませんが、ウォンのボラティリティーが他の通貨と比較して異常に高いのがこれからも見て取れます。
『ヘラルド経済』は「ウォンだけが力を発揮できていない」などと書いていますが、間違っています。市場が判断してこのような結果になっているので、力を発揮するとかしないとかの話ではありません。
ウォンに対する市場の冷徹な評価がこうなのです。
ドルが弱くなっても異常なほど価値が上がらず、ドルがちょっと上がると異常なほど安値にひきつけを起こす。これがウォンの現実なのです。
(柏ケミカル@dcp)