韓国の『全国経済人連合会』※が興味深いリポートを出しました。
※『全国経済人連合会』は組織名の変更を決定しましたが、まだ実行されていません。
韓国株式市場に上場した企業のうち、限界企業の割合が他先進国と比較して増加しているというのです。限界企業というのは「利子補償倍率が1未満を3年連続で継続している会社のこと」です。
利子補償倍率は「営業利益 ÷ 借金の利払いの金額」で求めます。
これが1未満ということは、営業利益で借金の利息支払いをまかなえないことを意味します。この状態が3年続くと限界企業です。
死んでいるも同然なのに、まだ動いているということで「ゾンビ企業」といわれたりします。
『全国経済人連合会』が、KOSPI、KOSDAQに上場した企業を分析したところ、2022年末時点で17.5%が限界企業であることが分かりました。
最も景気が良かったとされる2017年末時点では「9.2%」でしたから、限界企業の割合はほぼ2倍に増加したわけです(正確には1.9倍)。
『全国経済人連合会』は同リポートで、3年連続で利子補償倍率が1未満ではなく、1年だけそのような状態になった企業を「一時的限界企業」と呼んでいますが、該当する上場企業はなんと「30.8%」に達しています(上掲)。
2022年には上場企業のほぼ1/3が「営業利益で借金の利子を払えない企業」になってしまったのです。
2022年のデータがある、アメリカ合衆国、日本、韓国の3カ国で比較すると、韓国がTop。2021年と比較すると、合衆国を抜きました(上掲)。日本は「11.4%」に過ぎない点にもご注目ください。
面白いのは、このリポートではG5(合衆国、イギリス、フランス・ドイツ・日本)と中国、韓国で比較しており、これを「主要7カ国」と称していることです。
G7に入ってるカナダとイタリアとは比較しないのでしょうか。
『全国経済人連合会』の願望が見えるようです。
それはともかく、景気悪化によって韓国企業が危険な状態になっていることを示しています。また、このように限界企業が増加しているというのに、先にご紹介したとおり「企業負債は増加している」のです。
危ないことこの上ありません。
(吉田ハンチング@dcp)