韓国経済が傾いており、企業の負債が増加しています。お金を借りてもたせているからです。
先にご紹介したことがありますが、前文在寅政権下では、政府負債と家計負債が異常に増加し、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)はじめ、格付け会社からも「大丈夫なのか」と懸念を表明されました。
特に家計負債は、対GDP比率で100%を超え「危ない」と指摘されました。もっとも韓国の家計負債が危ないのは今に始まったことではないのですが、それにしても100%超えは異常事態といってよく、この時限爆弾は今も懸念されています。
これまた先にご紹介しましたが、増加速度において政府・企業・家計の3部門の中で、まだマシだったのは企業負債だけでした。
ところが、企業負債もここにきて看過できなくなってきています。2023年04月末時点で、韓国第一金融圏に属する5大銀行の融資残高を見ると、「1,432兆4,562億ウォン」(約143兆2,456億円)です。
対前年同期比では4%、55兆5,359億ウォン(約5兆5,536億円)増加しています。
しかし、家計融資の方は(ゆっくりですが)2022年01月以降は漸減傾向にあるのです。では、どこが銀行からの融資を受けて借金を増やしているのか?
もちろん企業です。以下をご覧ください。
大企業:605兆4,036億ウォン(+5.7%)
中小企業:114兆6,742億ウォン(+30.1%)
小計:720兆778億ウォン(+9.0%)
※5大銀行のみ/中小企業には個人事業主を含む
ご注目いただきたいのは、大企業です。なんと銀行からの融資を30%も増やしています。
なぜこんなことになったのかというと、社債発行による資金調達を諦めて「融資を受けること」に切り替えたためと推測できます。
例の『韓国電力公社』の巨額社債発行(親方太極旗でAAAの格付けを利用)、2022年10月に起こった『韓国レゴランド』事態による短期資金調達市場の冷え込みなど、複合的な状況による結果です。
問題は、銀行からの融資の金利も上昇していることです。
そもそも基準金利が上がっているので融資金利が上昇するのは当然ですが、コロナ禍による史上最低の金利を謳歌してきた企業にとっては災難という他ありません。
もともと韓国企業では、営業利益によって元利返済ができないゾンビ企業が3割あるといわれています。ご案内のとおり、韓国経済は現在傾いており景気もよくありません。
そんな中、銀行から融資を受けて生き延びようとしても、金利が上昇しています。ロールオーバーしても(借り換えても)利息払いが増えるのです。こうなると景気が回復するのが早いか、飛ぶのが早いかのチキンレースです。
恐らく『韓国銀行』はこれ以上基準金利を上げることができません。「合衆国よ上げないでくれ」と祈るような気持ちでしょう。
とうわけで、韓国企業は融資を受けて生き延びていますが、どこまでいけるのかは注視する必要があります。
(吉田ハンチング@dcp)