2024年09月06日、『韓国銀行』が「2024年07月の国際収支統計」を公表しました。
まずいつもどおり経常収支を見てみます。以下になります。
2024年07月
貿易収支:84億9,450万ドル
サービス収支:-23億7,860万ドル
第1次所得収支:31億4,650万ドル
第2次所得収支:-1億3,060万ドル
経常収支(上記4つの合計):91億3,180万ドル⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
韓国の経常収支は、2024年07月は「91.3億ドル」で好調な結果でした。
これは貿易収支が「84.9億ドル」と好調だった上に、外国からの所得を計上する第一次所得収支も「31.5億ドル」と良い数字となったためです。
さすがに前月06月の経常収支「125億6,380万ドル」は出来過ぎで、当月は及びませんでした。
貿易収支がやたらに良いのは、Money1でもご紹介しているとおり、半導体輸出が回復しているからです。問題はこれがずっと続くのか?――です。
つまり、焦点は「AIバブルが弾けませんか?」です。
韓国メディアでは「経常収支が3カ月連続で黒字」(05・06・07月)としていますが、赤字になった04月は外国への配当支払いが増加する「残酷な四月」の効果なので、これについては特に心配する必要はありません。
「金融収支」の方を見てみると……
国際収支統計では、経常収支と金融収支はニアリーでイコールになります(なぜそうなるかというと「そういうふうに作られているから」です)。つまり、経常収支が大きいということは金融資産の方でも資産がその分増加していることになります。
当月、金融収支の方は「110億3,110万ドル」のプラス(資産増加)。
内訳は以下のようになります。
2024年07月
直接投資:13億4,570万ドル
証券投資:61億8,730万ドル
デリバティティブ:16億6,020万ドル
その他投資:14億7,870万ドル
外貨準備高の増減:3億5,920万ドル
金融収支(上記5つの合計):110億3,110万ドル⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
金融収支には「外貨準備の増減」が含まれます。
今回ご注目いただきたいのは、この「外貨準備の増減」で、わずか「3億5,920万ドル」しかありません。
実は、韓国は外貨準備を積めなくなってきています。2024年01~07月の「外貨準備の増減」を見ると以下のようになります。
2024年05月には外貨準備が「-55.5億ドル」を記録したりしています。2024年は07月まで累計で「-55.5億ドル」。外貨準備を大きく減らしているのです。
では年次で見るとどうなるか? 2017年からここまでを見ると以下のようになります。
↑2017~2024年の「外貨準備の増減」推移。2024年は07月まで。
2021年までは外貨準備を積んできたのですが、2022年に入ってから外貨準備を減らし続けていることが分かります。
月次で見ても上掲のとおりで、外貨準備を積めなくなっているのです。もっとも韓国の場合には、その分本当にあるのかが疑問なわけですが。
(吉田ハンチング@dcp)