韓国の海洋探査船は「韓国の技術なのか?」⇒ 探海3号が深海で高濃度レアアースを発見――という話。

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『毎日経済』の日本語版が面白い記事を出しています。

「全世界が銃声のない『資源戦争』を行う中で、韓国の技術で西太平洋の深海に埋没する高濃度希土類を発見した」――という記事です。

記事の一部を以下に引用してみます。

全世界が銃声のない「資源戦争」を行う中で、韓国の技術で西太平洋の深海に埋没する高濃度希土類を発見した。韓国地質資源研究院の最先端探査船「探海3号」が初めての大洋探査で事前に予測した地点で正確に調査し、未来核心資源確保の青信号を灯した。

韓国地質資源研究院(KIGAM)は2025年07月、西太平洋の公海上で行った探海3号の初探査結果を15日公開した。

研究チームは水深5,800mの深海底で堆積物を原型そのまますくう「ピストンコアリング」方式を通じて床を見回した。その結果、事前に予測した3つの地点すべてで平均2,000ppm(100万分の1)を超える高濃度希土類が埋没していることが確認された。

一部の地点は最大3,100ppmに達した。

レアアースはスマートフォン、電気自動車などの先端産業に欠かせない「産業のビタミン」と呼ばれる。 今回発見された海底レアアースは、泥の形をしている。

陸上鉱山でレアアースを掘る時に出るトリウムのような放射性物質が少なく、環境にやさしい。 特に高性能永久磁石製造に必須的な「中希土類」含量が高く経済的価値が非常に大きい。

まるで砂浜で針探しのような海中のレアアース探査を成功させた秘訣は「データ科学」にある。

探海3号は、船の後方に国内で初めて8.1キロに達するスジンギ(ストリーマー)を引きながら、海の下を精密超音波でレントゲンを撮るように見渡した。

長い尻尾のように後続するセンサーが深海底地層構造を鮮明に映像化し、研究チームはこのデータを分析して希土類が集まっているようなところを取り出した。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済(日本語版)』「西太平洋の公海上初の探査機で高濃度の副尊確認8.1kmの「ストリーマー」装備で深海底地質精密撮影「海底泥」を先取りし、資源安保主導権確保、4月に2次精密探査に着手」

明らかに、日本による「自国海域6,000メートルの深海で採掘実証に乗り出す」に影響されたものでしょう。

興味深いのは「韓国の技術で……」です。何を言ってるんだお前は――なのですが、この海洋探査船は技術的に非常に面白い船なのです。

上掲が、韓国の誇る海洋探査船「Tamhae 3」(探海3号)ですが、注目していただきたいのは艦首(VOW)の形状です。

一般的な尖った形ではなく、丸っこいぼてっとした艦首となっています。これは「X-VOW(エクス・バウ)」と呼ばれる、ノルウェーの『Ulstein Design & Solutions AS』社が開発した特殊なフォルムです。

2005年に特許を取得した革新的な船首デザインで、従来の船首(バウ)が前方に尖っているのに対し、X-BOWは船首が「内側に湾曲」した形状になっています。

非常に特殊な形状ですが、X-VOWを採用した船はすでに100隻以上建造されています。


↑同社の動画の1シーン。「X-BOWは、自然の中で環境と調和しながら生きる海の哺乳類の世界を模倣しています。自然から着想を得ているのです」と字幕で説明されています。

同社の説明動画によると、海棲哺乳類の形状を模倣して造った――となっています。

X-VOWは波の頂点を「切る」のではなく「滑らかに突き抜ける」ための形状で、スラミング(波の衝撃)を減少させ、船体の揺れが少ない――とされます。

海洋探査船のようにデータ収集精度が求められる船にとって、安定したプラットフォームの確保が極めて重要。そのためX-VOWを備えた船が向いているというわけです。

2025年の報道などでは、「韓国の技術で深海探査船を建造」「探海3号は韓国製」といった表現が使われることがあります。しかし、実際のところは、

設計(デザイン)と技術コンセプト
⇒ノルウェーの『Ulstein Design & Solutions AS』が設計した「SX134型」

構造設計・エンジニアリングの中核
⇒『Ulstein』の技術ライセンスに基づく

建造(実際の造船)
⇒韓国の『HJ Shipbuilding & Construction』(旧・韓進重工業) にて建造

装備・運用・システム統合
⇒『韓国地質資源研究院』(KIGAM)と韓国内の研究陣による選定・実装

――なので「韓国の技術」というのは「そうかなあ」なのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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