2026年01月30日、『韓国銀行』が非常に興味深いBOKイシューノート「[第2026-3号]『休んでいる(쉬었음)』青年層の特徴および評価:未就業タイプ別比較分析」を公表しました。
Money1でもご紹介してきたとおり、韓国では若者の就業率が下落しています。これは就職難という事情が大きな影響を及ぼしているわけですが、中国と同じく「ただ休んでいる」という若者も増加しているのです。
こういうところで韓国と中国は似てきました。
さすがに「これはいかん」ということで、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁率いる『韓国銀行』から「BOKイシューノート」が出ました。
ただただ「休んでいる」という青年層にはどんな特徴があるのか――と分析したもので、abstractの部分を以下に引用してみます。
1. 青年層を中心に、非経済活動人口のうち「休んでいる(쉬었음)」人口が趨勢的に増加している。特に「休んでいる」青年層の中で、仕事を望まない青年が増えている点が目立っており、これは今後、労働市場に再参入する可能性が低い青年が増えていることを示唆している。
また、学歴別に見ると、短大卒以下の比重が高い中で、最近では4年制大学以上の学歴を持つ「休んでいる」青年も増加している。AI基盤の技術変化、経験者(キャリア人材)志向などの構造的変化が、青年層の労働市場状況を悪化させる要因として作用していると評価される。
2. 青年を対象とした継続追跡調査を用いて、未就業を、
①求職中、
②就業に向けた能力向上のための学習・訓練中、
③休んでいる、の三つに区分して分析した結果、短大卒以下の青年層は、4年制大学卒以上の青年層に比べて「休んでいる」状態にある確率が6.3%ポイント高かった。
また、進路適応度が低い青年は、高い青年に比べて「休んでいる」状態である確率が4.6%ポイント高い。
一方、学歴および進路適応度が高い場合には、「就業に向けた能力向上のための学習・訓練中」である確率がより高かった。
個人別の潜在能力に応じた期待収益が、こうした意思決定に影響を与えているとみられる。
3. 未就業期間が1年延びるごとに、「休んでいる」状態である確率は4.0%ポイント上昇し、「求職中」である確率は3.1%ポイント低下する。
また、未就業期間の増加による否定的影響は、学歴および進路適応度が低い青年層において、より一層加速する。
これらの青年層は、未就業期間が長期化した場合、労働市場から永久に離脱する可能性が高いことを示唆している。
4. 「休んでいる」青年層の増加を、青年層の職業に対する期待水準(いわゆる“目線”)が高くなった結果と解釈する見方とは異なり、「休んでいる」青年層の職業に対する期待水準は、絶対的にも相対的にも高くなかった。
「休んでいる」青年層の「この金額以上なら働いてもいい」と考えている最低賃金水準(の平均)は、3,100万ウォンであり、これは高い水準ではなく、他のタイプの未就業青年と類似した水準であった。
また、「休んでいる」青年は「中小企業」を希望する比率が最も高く、「大企業」や「公共機関」を最も好んだ他の未就業青年に比べて、むしろ期待水準が低いことが明らかになった。
これは、職業に対する期待が高くないにもかかわらず、労働市場に参入すること自体に依然として困難を抱えている青年が多いことを示唆している。
5. 「休んでいる」青年層に対する政策設計は、短大卒以下の青年層を労働市場へ誘引することに、より重点を置く必要がある。
青年が進路計画を具体化し、変化する職業環境への適応力を高められるよう支援する進路相談プログラムなども必要である。また、青年層雇用の相当部分を担っている中小企業などの労働条件を、制度的に改善していくことも求められるだろう。
非常に興味深い内容です。
嫌な話かもしれませんが、学歴が相対的に低い場合には「就業しないで、ただただ休んでいるだけの状態」になりやすい――というのが1点。
もうひとつは、未就業な状態が長期化すると――「仕事を探さない ⇒ 就業に戻らない」状態に固定化されやすい層が存在する――ということです。
いったん単に休んでいる状態になってしまうと、そのままになりやすいのです。
さらに、この論文は、よくある言説「若者が仕事を選り好みしているから働かない」を否定しています。
「この金額以上なら働いてもいい」と考えている最低賃金水準(の平均)は3,100万ウォンで、特に高望みしているわけではない――となっていますので※。
※ただし、この金額については異論があります。日本円でざっくり300~320万円前後ですから、韓国の中小企業・若年層平均と比べると「低い」とは言えない水準です。ですから、この金額だけで「若者が仕事のえり好みをしてはいない」とは言い切れないのではないでしょうか。
――いずれにしても、この論文は――、
「休んでいる青年」は怠けているのでも高望みしているのでもなく、「構造的な労働市場変化の中で、戻れなくなりつつある層が拡大している」
――といっています。
「ただただ休んでいるだけの若者」を放置すると、労働市場に参加する若年層が減少し、韓国経済の生産性を下げる要因になりますから、できるだけ就業者に戻ってもらいたいわけです。

この就業者ついてはとても難題です。ただ休んでいるからといって「その人が楽してる」と考えるのは間違っています。「仕事があればオレだって働きたいよ」という人の方がむしろ普通でしょう。
人にとって何よりつらいのは「働き口がないこと」です。まるで社会から「お前なんかいらない」といわれたような気持ちになります。。
ですから政府は、何より「雇用」、特に若年層の雇用について手厚く施策を行わなければならないのです。若者に職がなく悲観するような国はロクなものではありません。
(吉田ハンチング@dcp)






