韓国では国民年金で受け取れる金額が非常に少ないという件は先にご紹介しました。実は公務員年金、軍人年金ですでに積立金が枯渇して赤字。補填(ほてん)しなければ支給できない状況となっています。
すでに年間3.6兆ウォンの赤字が発生している!
まず、韓国メディア『イーデイリー』の記事を以下に引用します。
(前略)
今回の長期財政見通しで、公務員・軍人年金は年間数兆ウォンの赤字を記録する見通しだ。国会予算政策処(予定先)」2019会計年度決算分析」報告書によると、昨年公務員・軍人年金の赤字は3兆6,136億ウォンを記録した。
公務員年金の赤字は2兆563億ウォン、軍人年金赤字は1兆5,573億ウォンだった。
(後略)
すでに現時点で赤字で約3.6兆ウォンの赤字が発生していますが、これは2021年からさらに拡大します。
というのは、物価連動分の措置(物価の上昇・下落に合わせて給付金額を増減させる)が凍結されていたのですが、2021年からこの措置がなくなって年金給付額が増加するのです。
以下がこの赤字がどのように推移するかの予測です。
2030年には「9兆3,000億ウォンの赤字」ですが、2060年には「26兆4,000億ウォン」に達します。ものすごい右肩上がりの赤字になる予定ですが、この負担増に韓国政府は耐えられません。人口が急激に減少して税収も減るからです。
このような状況でよく空母(韓国版軽空母)を導入するなんて話ができるものです。
公務員・軍人年金の給付額は国民年金よりはるかに高い!
なぜこんなことになっているのかといいますと、まず当然ですが保険料の方が少なく支給額が多いためです。収入より支出が多いのです。また、一般の国民年金よりも公務員年金・軍人年金の支給額の方がはるかに高いのです。
同記事からその部分を引用します。
昨年1人当たりの月平均年金額は、公務員年金が237万ウォン、軍人年金が272万ウォンとなった。
保健福祉部・国民年金公団によると、昨年、国民年金の月平均支給額は40万4,019ウォンだった。
国民年金では「40万4,019ウォン」(約3万5,958円)しかもらえませんが、公務員年金は「237万ウォン」(約21万930円)、軍人年金は「272万ウォン」(24万2,080円)もらえるのです※1。
国民年金との格差は、公務員年金で「5.9倍」、軍人年金で「6.7倍」にもなります。
なぜこんなに差があるかというと、韓国の保険制度の成立過程で国民年金が一番最後になったという歴史的な事情が絡んでいます。ともあれ、すでに破綻している話ではありますが、なんとかしないと政府財政も破綻するかもしれません。
しかし、特に妙案が出るとも思えないのですが……。
※1ウォン円換算は2020年08月30日の「1ウォン=0.089円」を用いました
(柏ケミカル@dcp)