2020年12月07日、韓国メディア『朝鮮日報』に面白い記事が出ました。
韓国の黄禹錫(ファン・ウソク)さんという生物学者を覚えていらっしゃるでしょうか? 2004年にヒトの胚性幹細胞(ES細胞)の製作に成功した、という論文が『Science 』誌に掲載され、世界を驚愕させた人物です。
研究者として韓国では「韓国の誇り」とまで賞されていたのですが、論文のねつ造が発覚。学会から追放されたのですが、「愛犬をよみがえらせる」というクローン犬のビジネスを始めるなどで(倫理的な問題はあるにせよ)注目を浴び、復権の兆しもあるという複雑な状況となっています。
この黄さんに、韓国の科学技術情報通信部が督促状を送っていたのです。これは、
2004年に大統領賞を受賞した際に受け取った3億ウォンを返却しろ
というものです。論文がねつ造でしたので、政府の対応も当然かもしれません。実は、2020年11月18日、韓国の科学技術情報通信部は、黄さんの「大韓民国最高科学技術賞」を取り消したことを官報で公表しています。この措置で、本来であれば11月30日までに賞金を返却しなけれなならなかったのです。
しかし、黄さんは「賞金は返せない」という意見書を提出。賞金は「基礎技術研究会」(現・国家科学技術研究会)に寄贈したので返却できない――というのです。
これで納得いかない科学技術情報通信部が督促状を出していた、という次第です。同記事では「訴訟になるかも……」と書いています。また、黄さんはUAEのアブダビにいらっしゃるそうです。
(吉田ハンチング@dcp)