読者の皆さんもご存じのとおり、現在世界の海運業はてんてこ舞い。景気回復による旺盛な需要に応えられておらず、コンテナ船の便が全く足りません。
輸出一本で食べている国、韓国にとっては由々しき事態です。輸出品を運ばなければ国が成立しないのに、商品を運ぶ足がないというのです。
コンテナ船は中国に殺到しており、韓国は後回しにされています。
この苦境について韓国メディア『毎日経済』が非常に興味深い記事を出しています。以下に記事の一部を引用します。
(前略)
海運業界の関係者は「アメリカ合衆国に輸送される貨物は絶対的に中国発の物量が多く、船が中国に殺到している」との難しさを吐露した。海運業の立場では、「規模の経済」効果を最大化することができる上、高い送料を受けることができるため、中国港湾の船舶を割り当てるのが当然だという説明だ。
国内輸出企業は船舶の確保に総力を傾けているが、状況は悪化の一途だ。
韓国海洋水産部と国土交通省格、中国交通運輸部によると、今年1月から5月まで、中国の北米路線の船腹量は550万TEU(1TEUは20フィートの長さのコンテナ1個)と集計され、昨年比約65%上昇した。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「[단독] “한국 수출품 실어나를 배가 없다” 中 선박 싹쓸이에 부산항 패싱 심화」
つまり、中国からアメリカ合衆国に運ぶ貨物はそもそも量が多く、また輸送料金も高値になっているので、経済効率(もうけ)を考えれば輸送業者がコンテナ船を中国に集中させるのは当然のことだ、というわけです。
中国-北米航路の貨物量は65%も増えてる、と。
では、どのくらい輸送コストが上昇しているのか、以下をご覧ください。
↑上海コンテナ運賃指数(SCFI)は空前の「3,932.35」まで上昇しています⇒参照・引用元:『上海海運取引所』公式サイト
上掲は『上海海運取引所』の公表している、コンテナ運賃を示す「SCFI」という指数ですが、2021年07月09日の時点で「3,932.35」に達しており、これは史上最高値。2021年に入ってからずっと右肩上がりを続けています。
韓国に船が来ないという窮状
同様に中国-欧州の船腹量も約38%上昇しており、韓国はこのあおりを食っています。
『毎日経済』では「釜山港パッシング」と書いていますが、つまり韓国の輸出の要である釜山港に船が来ない、のです。
先にご紹介したとおり、釜山港(釜山新港)では輸送コストが高すぎて支払えないので船に積めない荷物、順番待ちのコンテナが道路にはみ出すまでに置かれている状況です。
韓国の輸出が回復してきた、と韓国メディアは報じていますが、この物流の阻害は大きな問題です。なにせ輸出一本で食べている国ですので。
このような現状ですから、以下の記事でご紹介した文在寅大統領のイベント開催は本当に余計なことでした。港湾会社の人が怒るのも無理はありません。
(吉田ハンチング@dcp)