韓国のウォンが安くなっており、韓国株式市場も2020年11月の水準まで戻っていることから、韓国経済が危ないという言説があちこちから出ています。
今回は「ウォン安発の経済危機」なんて言葉も出ており、ドルウォンのレートが全然戻らないのを問題視しています。しかし、ウォン安に傾くのはアメリカ合衆国の金融引き締め策によるもので韓国政府が止められるものではありません。
「ウォン安を止めるのは通貨スワップだ」と考える識者の皆さんが多いようで、韓国メディアもその意見を取り上げることが増えています。
とうとう韓国メディア『ソウル経済』に無茶苦茶な提言(?)が掲載されました。
記事自体は、米韓の金利逆転で外国人投資家の資金がどんどん抜けているというものなのですが、その対策に「通貨スワップが要る」(?)という結びになっています。
最後の段落に無茶苦茶な部分がありますので、引用してみます。
(前略)
市場では当局が通貨スワップなど他の政策手段を悩まなければならないという声も出ている。ペク・ソクヒョン新韓銀行S&Tセンターエコノミストは、
「韓国や他の新興国が米国の国債を売り、為替レートの防御に乗り出し始めると、連銀も負担になるため、通貨スワップに出る可能性がある」
と説明した。
⇒参照・引用元:『ソウル経済』「金利逆転控え外人資金「干潮」… 短期的には1,350ウォンに達することも」
韓国が保有する合衆国公債を売却してドルを調達。そのドルで通貨防衛を始めたら合衆国も困るだろうから、それならと通貨スワップを締結するかもしれない――という無茶苦茶なことを言っています。
つまり、「合衆国を脅迫して通貨スワップを締結させよう」という提言です。
かつて大賢人エミン・ユルマズさんが「合衆国公債を購入するのは合衆国に信用されるためのデポジットのようなもの」と指摘されたことがありますが、全くそのとおりで、「売られたくなければ通貨スワップを結べ」などと言えば、とたんに「合衆国の敵」認定されるでしょう。
Money1でもかつてご紹介したことがありますが、同じようなことを言った国があります。
中国です。
英語版御用新聞『Global Times』を通じて「合衆国公債の保有を8,000億ドルまで減らすぞ」と合衆国を脅したことがあります。
以下がかつて紹介した『Global Times』の記事です(2020年09月03日付け)。
専門家らによると、アメリカ合衆国連邦政府の赤字が拡大してデフォルトのリスクを増大させ、またトランプ政権が中国への猛烈な攻撃を続けているため、中国は米国債の保有を現在の1兆ドル超から約8,000億ドルに削減する可能性がある。
(中略)
「中国はこの状況下では米国債の保有を徐々に約8,000億ドルに減少させるだろう。しかし、軍事紛争のような極端なケースになれば米国債を全て売却するかもしれない」上海大学のXi Junyang教授はグローバルタイムズに語った。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「Amid rising tensions, China likely to reduce US debt holdings」(原文・英語/筆者(バカ)意訳)
――で、どうなったかというと中国はいまだに1兆ドル超の合衆国公債を保有しています(2年近くたった直近では1兆ドルを切りそうになっていますが)。
どうなるのか非常に興味深いので、韓国は合衆国に「通貨スワップを結んでくれないなら合衆国公債を売るぞ」とぶつけてみればいいのではないでしょうか。
即「レッドチーム認定」になりそうな気がしますが。
(吉田ハンチング@dcp)