韓国金融当局が「外貨は十分にあるの?」会議を開催

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2023年02月28日、韓国の企画財政部が「本年初の外国為替健全性協議会」が開催されました。

ウォン安が進行し、再び「1ドル=1,300ウォン」を突破していますので、金融通貨当局の危機感の表出と見られます。


↑ドルウォンはウォン安進行(チャートは『Investing.com』より引用:週足)

以下は企画財政部のプレスリリースです。

バン・ギソン企画財政部第1次官は、2月28日(火)08:00、国際金融センターで今年度初の外国為替健全性協議会*を主宰**した。

*外国為替部門のマクロ健全性管理を担当する関係機関間の協業を強化するため、’21年7月に新設された協議体(外国為替取引法施行令第20条の4)

**参加機関:企画財政部(第1次官主宰)、金融委員会、『韓国銀行』、金融監督院

ㅇ本日の会議では、金融機関の外貨流動性の現況、最近の海外公共機関の債券投資資金及び外国為替需給動向などを議論した。

バン次官は、米連邦準備制度理事会(FRB)の緊縮長期化懸念などでグローバル金融市場の変動性が拡大する中、米中戦争、中国の再オープンなど国際経済・政治情勢の変化が今年一年間、韓国経済に複合的に影響を与えると予想し、「グローバルリスクにもかかわらず、韓国の外国為替・外貨流動性は堅調に推移している。

ㅇグローバルリスクにもかかわらず、国内外国為替・金融市場の安定性を維持するため、外貨資金流入・流出のモニタリング、金融機関の為替健全性監督などにおいて関係機関が緊密に連携する必要があることを強調した。

今回の会議では、まず金融機関の外貨流動性の現況を点検した。

ㅇ02月に入り、米ドルのドル高転換*などグローバル市場の変動性が拡大**する中、韓国の銀行・証券・保険会社は安定的な外貨流動性水準***を維持していると評価された。

*ドルインデックス(主要6カ国通貨に対するドル価値): (’22末) 103.5 → (‘23.2.2日) 100.9 → (2.24日) 104.6

**VIX指数(ボラティリティ指数): (’22末) 21.7 → (‘23.2.2日) 18.7 → (2.24) 21.7

***国内銀行の02月の外貨LCRは132%水準で規制比率(80%)を大幅に上回り、銀行・証券・保険会社に対する危機状況分析の結果、十分な外貨資金を保有していると評価された。

⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「外国為替健全性協議会」

外貨の流動性は十分にあるかを点検したのがメインで、ご注目いただきたいのは最後の注です。

LCRは「Liquidity Coverage Ratio」の略で「流動性カバレッジ比率」と訳されます。

「流動資産 ÷ 30日間に必要となる流動性」です。何を計算しているというと、危機的状況になったときに必要になるお金が現金性資産でカバーできるか――です。

これが、100%(1.0)なら、「保有している流動資産」の量が「30日間に必要となる流動性」とイコールで、危機的状況になっても30日間はもつ――というわけです。

韓国の金融当局が基準と定めているのは80%

つまり、保有する現金性資産(この場合は「外貨」)は「30日間に必要となる分」の8割でいいとしています。

しかるに、今回の点検によれば02月の時点で132%。つまり、「30日間に必要となる分の「1.32倍」あるわけで、これをもって協議会は安全としました。

問題は本当に大丈夫なのか?です。

韓国の場合はこの点が実に脆弱で、2020年03月にドル枯渇でドボン寸前だった際も「ドル流動性については十分」と言い張っていたのですが、金融当局はLCRを緩和する措置を取りました。

つまりLCRを低くしてその分のドルを使えるようにしたのです。全然十分じゃなかったじゃないか――なのですが、韓国にとってドル強方向に急進することには特に警戒が必要なのです。

2020年のように世界的にドル高が進行すれば、ドルが抜けるのも早いですので。

(吉田ハンチング@dcp)

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