こういうのも韓国における王朝交代の一幕というべきでしょう。
韓国政府は、『韓国鉄道公社』(略称「KORAIL」)羅喜丞(ナ・ヒスン)社長の解任手続きに着手し、これが韓国メディアからも注目されています。
注目の理由は、文在寅前大統領時代に天下った人物だからです。
文在寅が放ったパラシュート部隊
韓国ではパラシュート人事ともいわれますが、文在寅政権末期に韓国では天下り人事が多発しました。Money1でも少しだけご紹介したことがありますが、「あまりにも露骨すぎないか」とメディアから批判が出るほどでした。
文政権がなぜそんなことをしたかというと、もちろん左派・進歩系の支配が続くようにです。
文在寅大統領からすれば旨みのあるポストを与えて忠誠を買うためです。「オレが大統領を辞めても頼むぞ」あるいは「保守寄り政権に変わっても頼むぞ」に他なりません。
天下りは、重要な政府関連機関、公的機関にも陸続と送り込まれました。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権からすれば、邪魔者以外の何者でもなく、これらの人物を全部引っこ抜いて、保守寄りの人物にすげ替えないといけないのです。
世にもあほらしい話ですが、それをしないとTopに天下った左派・進歩系の息がかかった人物が政権の足を引っ張り、左派・進歩系の市民団体などに公金を流すかもしれません。
2023年02月27日、企画財政部は公共機関運営委員会を開催して羅喜丞(ナ・ヒスン)社長に対して解任勧告案を可決。
これにより、羅喜丞(ナ・ヒスン)社長は、Money1でも以下記事でご紹介した『韓国鉄道』の事故多発、監督不行き届きの責任を取って解任の運びとなります。
この解任劇が注目されているのは、文政権によって天下った公的機関Topの最初の解任になるからです。
文在寅のひどい天下り人事
これまで、前政権で任命された機関長が辞任した例はありますが、解任はありませんでした。以下が辞任した例です。
尹政権で辞任した人物
『韓国開発研究院』(KDI)
洪長杓(ホン・チャンピョ)院長 ⇒ 辞任
『韓国労働研究院』(KLI)
ファン・ドクスン院長 ⇒ 辞任
『韓国土地住宅公社』(LH)
キム・ヒョンジュン社長 ⇒ 辞任
『韓国道路公社』
キム・ジンソク社長 ⇒ 辞任
『韓国鉄道公社』(KORAIL)←今ココ
羅喜丞(ナ・ヒスン)社長 ⇒ 解任決議
ご注目いだたきたいのは、『KDI』の院長に天下った洪長杓(ホン・チャンピョ)さんです。
洪長杓(ホン・チャンピョ)さんこそ、文在寅政権初期に経済主席秘書官となり、「所得主導経済」という妄想を実行して国を誤らせた張本人です。
もちろん、妄想に魅了されてあんぽんたんな経済学者を経済主席秘書官に据えたのは、当の文在寅その人ですから、すべて大統領の責任にあることはいうまでもありません。
そのような人物が政府系シンクタンクである『韓国開発研究院』の院長に天下れたのです。頭がおかしい人事としかいえません。
以下の記事でご紹介したとおり、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権で国務総理となった韓悳洙(ハン・ドクス)さんが、「所得主導成長を打ち立てた人物が『韓国開発研究院』院長の座に就いているのはあり得ない」と苦言を呈し、その後辞任となりました。
ことほどさように、文政権の天下り人事というのはひどいものでした。
もちろん誰もいなくなる
落下傘部隊はまだいるのです。
チョン・ヒョンヒ『国民権益委』委員長
チョン・ジョング『経済・人文社会研究会』理事長
チョン・ジョンファン『韓国馬事公社』会長
キム・ヨンムン『韓国東西発電』社長
カン・ヒョンス『国土研究院』院長
キム・チュンジン『韓国農水産食品流通公社』社長
※この人は別件で検察の調査待ち。『TV朝鮮』の
などは、政権交代後の辞任圧力を跳ね返し、厚顔無恥なことに現職にとどまっています。尹錫悦(ユン・ソギョル)政権はこれらの人物を除くために、監査などさまざまな手を使うでしょう。
ちなみに、現与党『国民の力』が大統領選挙直後に作成した「文在寅政権の主要汚職人事」名簿では、
・公共機関の理事・監事:46人
小計:59人
が挙がっています。
これなど一種の「ブラックリスト」ですが、『国民の力』からすれば、除かなければならない「好ましからざる人物」56人なのです。
与党『国民の力』は尹錫悦(ユン・ソギョル)政権に排除を働きかけ、実行されるでしょう。
そして誰もいなくなるのです。これが韓国の王朝交代です。
(吉田ハンチング@dcp)