韓国政府が「輸出が減ってきた! 大変だ」と大騒ぎですので、主要貿易相手国別の「もうけ具合」を見てみましょう。
もうけ具合は、「輸出 – 輸入」で算出する「貿易収支」で測ることができます。貿易収支がプラスなら、その国との貿易でお金が入ってくる貿易黒字、マイナスならお金が出ていく貿易赤字です。
ちょうどいいことに、産業通商資源部が輸出入動向のデータを修正して出していますので、その中から「主要10カ国と地域」相手の貿易収支のデータをグラフ化しました。
以下が2022年通年の「主要国別の貿易収支」金額です。
最も赤字なのは、中東相手の貿易で、これは原油などのエネルギー資源を大量に輸入しているからです。「-919.3億ドル」もの大赤字になっているのは、資源価格の急騰が影響しています。
日本相手の「-241.1億ドル」もの大きな赤字ですが、これは仕方ありません。韓国は日本から輸入する素材・装備・部品に頼って完成品を生産しているので、韓国の輸出が増加すればするほど日本はもうかるという仕組みです。
日本からするとお得意様で、「(うちがもうかるから)もっと頑張って輸出してくださいね」です。ちなみに韓国は、対日本貿易で黒字になったことはだたの1年もありません。
意外なのは「対EU」ではないでしょうか。
韓国メディアの記事を見ていると「欧州で『現代自動車』のIONIQ5が大人気」といった記事ばかり目につきますが、「-1.2億ドル」とうっすら赤字。対EU貿易は、あまりもうかってはいないのです。
「ガハハおやじ」のアメリカ合衆国からは「279.8億ドル」もうけています。対合衆国貿易はテッパンなので、韓国としては頼れる黒字です。
ただ、中国になびいたときは盛大な嫌がらせをされそうなので要注意です。最近は「ガハハおやじ」も吝くなってきたので気を付けなければなりません。
最ももうけているのは、「ASEAN:423.6億ドル」と「ベトナム:342.4億ドル」です。
対中国貿易が「12.1億ドル」しかもうからなくなったので、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は「東南アジアだー!」と言い出していますが、それはこのデータからもうなずけます。
韓国ブランドがまだしも通用する「かつての中国」が東南アジアだというわけです。ただし、東南アジア諸国が技術的に韓国に追いつくと中国のように「韓国ブランドはもういらない」となります。
インドは「99.7億ドル」を稼いでおり、有望な市場ですが、なぜか韓国政府は「もっとインドに輸出しよう」とはなっておりません。
中東の赤字を埋めたいのか「中東市場を開拓しよう!」という掛け声はかかっているのですが。
――というわけで、韓国政府が必死になっているのは上掲のような状態にあるからです。焦眉の急は、中国でもうからなくなった分を、別の国で埋めないといけないことです。
さあ韓国は、政府の思惑どおり東南アジア・中東で「貿易のもうけ」を拡大できるでしょうか?
(吉田ハンチング@dcp)