韓国は十分な内需を育てることに失敗しました。お金は不動産一辺倒に流れ、不動産価格の伸びがそのまま内需の拡大という構造になっています。
現在、韓国の不動産市場は、バブルが弾けるのではないかという懸念がありますが、これはすなわち内需の下落、お金が回らないという事態を引き起こすので、韓国政府としては「軟着陸させなければならない」課題です。
2023年03月07日、放送記者クラブの討論会に招待されて、興味深い発言をしています。「もし子供たちがローンで家を買おうとしたら、どんなアドバイスをしますか?」という質問に対する答えです。
「不動産不死、不動産投資は必ず成功する、という考えがあるが、高齢化などを考慮すると、このような過去のトレンドが今後も続くかどうか、もう一度考えなければならない」
「不動産価格はずっと右肩上がり」「不動産不敗」という考え方はおかしいから再考すべし、という指摘で、これは、いわば「冷や水」です。
李昌鏞(イ・チャンヨン)さんは、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)のアジア太平洋局長も務めた、非常に優秀な方ですが、「はは、オレ馬鹿嫌い」という人でもあります。
韓国はこれから人口が急速に減少していきますので、住宅の需要も急速に減少していくはずで、不動産市場は必然的に小さくなるのです。長期トレンドを考えなければならないと正鵠を射た指摘です。
ただし、今バブルが崩壊されるのは、韓国の金融当局としは困るのです。
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は以下のようにも述べています。
「昨年1年間で、住宅価格が19~20%も下落し、金融安定に影響を及ぼさないか心配したが、幸いにも今年01~02月に下落速度が緩和され、軟着陸の可能性を見せている」
2022年で住宅価格が約2割下がったものの、ここにきて下落が緩和されており、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁はこれを「軟着陸できるかも」と見ていらっしゃるようです。
チャートでいうと、押し目を作る下げを「軟着陸」と表現しているのかもしれません。調整局面が終わったら再び上昇を続けるというわけです。
「軟着陸できるバブルなどないし、軟着陸できるようなものはバブルと呼ばない」という言葉もありますが、韓国金融当局のお手並み拝見です。
(吉田ハンチング@dcp)