韓国の電気インフラ行政は前文在寅政権によって無茶苦茶になりました。
脱原発を標榜し、クリーンエネルギー政策に邁進したため、電力不足と送電網インフラの不足に直面。
先にご紹介したとおり、変電所・送電網の不足は深刻でいまだに送電網に接続されていない太陽光発電施設が存在し、一方で接続し過ぎて送電網に高負荷を掛けるという事態が起こっています。
負荷が掛かり過ぎるととブラックアウトの懸念があるので、発電を止めなければならないという状況になるのです。太陽光・風力発電施設を乱造したことのツケが露呈しています。
2023年06月04日、『国民の力』のハン・ムギョン議員室が『韓国電力公社』から提供を受けた資料※によれば、配電設備投資だけで「31兆ウォン」が必要となっています。
Money1でもご紹介したことがありますが、文在寅政権下で策定された「第9次長期送変電設備計画」(2020~2034年)では、配電設備投資に「18兆ウォン」が必要となっていたのに、一気に倍近く(正確には72%増)の資金投下が必要と試算されたのです。
そもそも、『韓国電力』が公表した「第10次長期送変電設備計画」(2022~2036年)では、2036年までに送変電設備の投資金額として「56兆5,000億ウォン」が必要となっていました。
9次と10次では2年のタイムラグがありますが、それにしても72%も増加しているのは異常です。これは、太陽光・風力発電施設を乱造したことが主な原因とされています。季節まかせ・その日の状況次第という面があるので発電量のコントロールが難しく、別途にバックアップ用配電網がいるから、とのこと。
変電所・送電網の設備投資だけで56.5兆ウォンかかり、プラスして配電設備投資に31兆ウォンですから、都合、約88兆ウォンの投資が必要となるのです。
また、9次で必要とされた資金投下が行われたのかといえば――行われておりません。
読者の皆さまもご存じのとおり、『韓国電力』の経営が傾き、資金難に陥ったのが主因です。変電所・送電網の設置に住民が猛烈な反対運動を展開していることも理由の一つになっています(補償問題)。
つまり、先送りに次ぐ先送りで、コストが増加していっている面があります。
さらに『韓国電力』がご案内のとおり財政難ですから、とてもそれだけのお金を投資できるとは思えません。韓国の電力行政は八方塞がりに陥っています。
(吉田ハンチング@dcp)