「コリアディスカウント」という言葉があります。簡単にいうと「韓国だから……」という理由で安く見られる・安くなるという現象です。
Money1でも何度かご紹介していますが、韓国政府・メディアは特に株価において「コリアディスカウント」について嘆き節を漏らすことが多いのです。「韓国企業だから株価が(不当に)安くなっている」というわけです。
MSCIでも先進国市場に分類されたがっているのは、「これが先進国だったら……」と悔しい気持ちがモチベーションの一つになっています。もちろんMSCIで先進国市場に分類されるのは無理なのですが。
また、たとえMSCIで先進国市場に分類されたとしてもコリアディスカウントは変わりません。なぜなら、先進国市場に分類されていないのはMSCIだけ。
『Dow Jones(ダウ・ジョーンズ)』:1999年~
『S&P』:2008年~
『FTSE』:2009年~
上掲のとおり、一応『Dow Jones(ダウ・ジョーンズ)』『S&P』『FTSE』では先進国市場になっています。しかし、別に韓国を安く見る投資家の目は変わっていません。
ですから、MSCIが分類を変えたとしても、コリアディスカウントは変わらないものと考えられるのです。
面白いことに『東亜日報』が「いかにコリアディスカウントがひどいか」について嘆き節の記事を出しています。以下に大事な部分を引用してみます。
(前略)
韓国KOSPI200のPER、アメリカ合衆国の半分レベル株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)などの代表的な指標を比較すると、コリアディスカウントがより明らかになる。
2022年の決算資料で、韓国のKOSPI200のPERは11.3だ。
合衆国のPERは20.4で韓国の2倍近くになる。
『サムスン電子』が韓国の会社ではなく、アメリカの会社だったら、株価が2倍ほど高いということだ。
日本のPERは16.3で、PERが低い方であるフランスも13.8水準だ。
先進国のPERの平均値は17.9で、韓国のPER11.3は非常に低い数値だ。
さらに中国のPERが13.7で、台湾も12.6だ。先進国ではなく新興国のPER平均が12.5水準なので、韓国は新興国よりも株価が低いということになる。
PBRはもっとひどい。
昨年、韓国のKOSPI200のPBRは0.9だった。
先進国市場のPBRは2.9、新興国は1.6水準だった。
PBRは本来1.0より大きくなければならない。1.0より低ければ非常に割安だと考えるが、個別企業でもなく、韓国KOSPI200全体の平均が1に満たない0.9なのだ。
帳簿価格より低い価格で株価が形成されているということで、どのような基準で見ても非常に割安だと判断できる。
記事内に登場するPERと、PBRは割安株を見つけるときの指標として使われます。
短絡的に「『サムスン電子』が韓国の会社ではなく、アメリカの会社だったら、株価が2倍ほど高いということだ」と書いていますが、これをコリアディスカウントだというのは、いささか違います。
もっともPBRが「0.9」というのは確かに問題です。
PBRは、簡単にいうと「株価が純資産をどのくらい膨らませた水準なのか」を示します。0.9ということは、株式が純資産より価値が低いことを示しています。事業するだけ無駄じゃないのか、という話で、つまり韓国の株式は投資家から全く評価されていません。
嘆くのも無理はありませんが、これが現実です。
(柏ケミカル@dcp)