『韓国銀行』李総裁「通貨スワップ、通貨スワップの連呼にうんざり」

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2023年07月14日、「大韓商工会議所済州フォーラム」で『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁が講演を行いました。

メインは金利の話で、13日、韓国金融通貨委員会は基準金利を「3.50%」に据え置く判断をしました。12日後に迫ったアメリカ合衆国『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)では、恐らく「5.25~5.50%」に0.25%(=25bp)上昇すると見られます。

これによって、韓国と合衆国の金利差は史上最大の「2.00%」まで開くのですが、大丈夫と判断したのです。

韓国内では「そろそろ金利を下げてもいいのではないか」という声が出ています。

不景気な上に、企業負債・家計負債が増加し、資金調達に困難を来すなど、高金利による負担に耐えられなくなってきたからです。

しかし、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は講演において、きっぱり「その考えはない」とNOを突きつけました。李総裁は以下のように語っています。

「物価上昇率が先月2.7%まで下がり、一部で金利を下げてもいいのではと言われているが、まだ早い

「物価が安定化したように見えるが、これは昨年物価が急騰した基底効果の影響もある。今後2カ月程度は物価上昇率が3%以下で維持されると予想するが、その後は基底効果などで3%台に上がると思う」

「当分の間、急速に金利が上がることはないが、当分の間、金利を下げることは難しい状況だ。金融政策が冷温を行き来すると、マクロ経済の枠組みが揺らぐので危険だ。今後の状況を見ながら金利を維持するか引き上げるかを検討する」

金融政策はミクロ経済一つ一つを考慮すべきでなく、大きな船が揺れないように安定させる役割をしなければならない。その後起こる困難ついては、よく見て調整していきたい」

まだ金利を下げる局面ではない、というのは正しい認識でしょう。

面白いのは次の発言です。

「一時、為替レートが1,400ウォン以上に上昇した際、韓国内で『ドル通貨スワップ』を取得するように言われ、大変苦労した

李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は、合衆国との「通貨スワップ」(ドル流動性スワップ)について、3つの条件がそろわないと締結はできないと説明しました。

世界的なドル不足事態があること
合衆国以外の主要金融市場が揺らぎ、合衆国企業や家計が苦境に陥る
合衆国議会で説明しなければならない

当時は世界的なドル独歩高で、合衆国以外の全ての国の通貨が安くなっていました。しかし、2020年03月のように世界的なドル流動性不足で合衆国企業・家計にも悪影響を及ぼすだろう――といった状況ではありませんでした。

そのため、韓国内でいかに通貨スワップを連呼しても合衆国は締結するわけはなく、李総裁はそれを十分理解していました。

李総裁は、韓国がドル流動性スワップの話をすると「(海外の関係者は)韓国が何の問題があるのか」と不思議がった――という話まで披露しました。

つまり、取り憑かれたように通貨スワップ、通貨スワップと連呼する韓国内のメディア・識者に心底うんざりしていた、という吐露です。

Money1でもご紹介したとおり、李総裁は当時「通貨スワップは(この時点では)役に立たないし、締結するかどうかは合衆国が決めること」として、通貨スワップの連呼に「ふん!」という態度を取ってきました。

李総裁からすれば、本当に「ばかばかしい主張」だったわけです。ただ、恐らく李総裁がここまで言っても、韓国メディアの「通貨スワップ連呼」はこれからもなくならないでしょう。

(吉田ハンチング@dcp)

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