2023年09月28日、台湾で画期的なことがありました。
台湾初の国産潜水艦「海鯤(kaikun)」の進水式が高雄造船所で行われたのです。
英語名では「Narwhal」(イッカク)となっていますが、『莊子』の「逍遙遊」に登場する「鯤」から取っていると思われます。
北冥に魚有り、其の名を鯤と為す。
鯤の大いなる、其の幾千里なるを知らず。
化して鳥と為る。其の名を鵬と為す。
鵬の背、其の幾千里なるを知らず。
怒して飛べば、其の翼は垂天の雲の若し。
是の鳥や、海運れば則ち将に南冥に徒うつらんとす。
南冥とは天池なり。
『莊子』といえば、その気宇壮大な世界観で人を魅了しますが、「北冥に魚あり」とされる、大きさが幾千里か分からないほど巨大な怪魚「鯤」から名前を取ったのです。
「中国の伝統・文化を引き継いでいるのは中華民国である」という、実に台湾らしいよい命名ではないでしょうか。
蔡英文総統はこの式典に出席し、「歴史はこの日を記憶するでしょう」と宣言。「台湾の粘り強い勇敢な精神を受け継ぎ、海底深く潜り、祖国を静かに守り、自由と民主主義を守り、台湾を前進させる力となるでしょう」と述べています。
台湾にとっては記念日ですが、中国共産党政府にとってはヤな日です。中国外交部の定例記者ブリーフィングで本艦についての質問が出て、毛寧報道官は以下のように答えています。
『Bloomberg』記者:
台湾の国防省は、海洋防衛能力を強化するために台湾が数十億ドルを投資した8隻の艦船のうちの1隻である「海鯤」ディーゼル電気潜水艦の最初の試験航海を開始した。これについて外交部はどのようにコメントしますか?毛寧:
これは外交問題ではありません。台湾は中国の不可分の領土であり、両岸の統一は必ず実現する。
『民主進歩党』(民進党)当局が頑なに「台湾独立」という分離主義の立場を堅持し、台湾の人々が苦労して稼いだお金を浪費し、台湾海峡を挟んで対立を生み出すことは、台湾海峡の平和と安定を損なうだけだ。
「どうせあんなものは酸っぱい」というイソップ童話に登場するキツネみたいな物言いです。
台湾初の国産潜水艦「海鯤」の活躍に期待したいところです。
(吉田ハンチング@dcp)