韓国政府は2024年度の予算を「656兆9,000億ウォン」としました。
2023年度が「638兆7,000億ウォン」だったので、「18兆2,000億ウォン」(2.8%)の増加です。
この対前年比で2.8%増というのは、2005年以降で最も小さい増加幅です。
Money1でもご紹介しているとおり、韓国は『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)、信用格付会社から「緊縮財政」を求められています。「このままでは危ない」と見られており、「さもなくば格付けを下げるぞ」と暗に脅されています。
1997年アジア通貨危機時に格付けが下落して急激な資金流出を経験した韓国は、信用格付けが下がるわけにはいきません。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は、前文在寅政権が無計画・野放図に政府支出を拡大した後始末を行っており、この予算を「財政正常化過程の中間結果」としています。
一方の最大野党『共に民主党』は、自分たちの政権が行ったことを棚に上げ、現在の不景気を払拭するために支出の拡大を求めています。
現在の韓国は不景気。消費・投資もよろしくない状況なので、政府が支出を拡大して経済成長を導け――というわけです。「不景気だから政府がお金をまけ」は間違ってはいませんが、肝心の韓国政府にお金がなく、お金をまくためには政府負債を積むしかありません。
すると、また『IMF』や格付け会社から「お前はナニをやっとるんじゃ」といわれる事態になります。
『共に民主党』がブーブー言っているのですが、面白いことに、国会には政府予算を増額させるための法的権限はないのです。減額の提案ができるだけで、そのため個別案件ごとに「あっちを削ってこっちに盛って」という作業しかできません。
2024年04月の総選挙前の、現在の国会議員による最後の予算折衝となっています。
先からご紹介しているとおり、韓国は文在寅政権下で支出を膨らませすぎました。緊縮姿勢ではありますが、それでも予算はまた膨らみました。
何度もご紹介しているとおり、税収が対前年比で約60兆ウォンもショートして大変苦しくなった2023年です。
果たして2024年は支出に耐えられるのか?が問題です。
(吉田ハンチング@dcp)