日曜なので読み物的な記事を一つ。
韓国では第22代国会議員総選挙(04月10日投開票)に向けて政争の嵐が吹き荒れています。保守寄りの『国民の力』と左派・進歩系の『共に民主党』が激突し、「監獄行きを懸けたゲーム」(鈴置高史先生の名言)を戦っています。
読者の皆さんは不思議だと思われませんか。『共に民主党』は左派・進歩系、左巻きの議員がそろった政党ですが、では「右派」「右翼」はないのか? と。韓国には「右翼」はないのです。
なぜなのかは、松本厚治先生が見事に説明していらっしゃいますので、それを以下に引用します。
(前略)
こうして、伝統はあらかた消滅した。残るのは近代化伝統くらいだが、親日派や日本人がかかわった、表に出せない闇の伝統として消されていった。結局、自覚的に継承される生きた伝統がない。
それを端的に示しているのが、この国における右翼の不在である。
日本で右翼といえば、誰もが天皇を想起するだろう。皇室への尊崇の念を欠いた右翼というものは、現実には考えがたい。
君主国では王党派が右翼となる。イスラム国家やイスラエルのように宗教を基軸に置く国では、その厳格な実践を求める党派が右翼になる。
独立革命によって誕生したアメリカでは、右翼とは、建国の理念に忠実な、大きな政府に反対し、人民の自決と自己武装を支持する勢力を指す。
マルクス主義はみずからを左翼思想とみなしているが、旧ソ連や中国の体制のなかでの役割に着目すれば、イデオロギー重視のいわゆる保守派が、右に位置づけられるだろう。
韓国には執権者や与党はいるが、国家的伝統に拠って立つ本来の意味での右翼が見出だせない。
見出だせないという以前に、そもそもこの国の右翼とは何か、イメージできない。
王室の藩屏となるわけでも、儒教を擁護するわけでもない。ではいったい何を守るのか。檀君、弘益人間、四千年の歴史、革命伝統と並べたてても、要領を得ない。
(後略)⇒参照・引用元:『韓国「反日主義」の起源』著・松本厚治,草思社,2019年03月04日 第1刷発行,pp537-538
※強調文字、赤アンダーラインは本記事筆者による(以下同)。
「韓国の右翼」なるものが全くイメージできませんし、それは韓国の皆さんも同じです。
なぜなら、「中国の属国だった1,000年に及ぶ歴史」「日本の資本・技術によって近代化を成し遂げた併合時代」をなかったことにした(事実に反して否定した)ので、国の正統性を示すコアがないからです。
正統性がないので「それを守る」などという意識は持ちようありません。「それ」がないのですから。
そのため、韓国には「右翼」はありません。存在しようがないのです。
「右翼」を名乗る集団が現れようもないし、現れたとしても一体どんな主張を行うのか想像もできません。
韓国は「右翼」が存立し得ない、ある意味「哀れな国」なのです。
(吉田ハンチング@dcp)