「韓国5位の建設会社」営業停止処分! 雨の日にコンクリ打ち、滝のように雨漏りする物件など施工「売上76%が飛びそうな危機」

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2024年02月01日、韓国第5位の建設会社『GS建設』が営業停止処分となりました。

まず、以下が国土交通部が出したプレスリリースです(面倒くさい方は強調文字などの部分だけご覧ください)。

行政処分、営業停止8カ月

– GS建設など5社…重大な過失で不良施工し、施設物の主要部分を損傷

国土交通部(長官パク・サンウ)は、仁川黔丹(コムダン)マンションの地下駐車場崩壊事故(’23.4.29.)の発生と関連し、『GS建設(株)』、『東部建設(株)』、『大宝建設(株)』、『上下建設(株)』、『アセア総合建設』など5社の建設事業者に営業停止8カ月の行政処分を科したと明らかにした。

ㅇ今回の営業停止処分は、行政手続法及び建設分野行政処分審議委員会運営規定などに基づき、法曹界・学界・業界などの専門家で構成された行政処分審議委員会の審議及び当事者聴聞手続きを経て決定された、

-当該建設事業者は、建設産業基本法第82条第2項第5号および同法施行令第80条第1項[別表6]に基づき、’故意又は重大な過失で不十分に施工することにより、施設物の構造上の主要部分に重大な損傷を発生’させたという理由で行政処分を受けることになった。

-同事故は、仁川黔丹(コムダン)マンションの新築工事中に地下1階上部スラブ(約1,104㎡)の崩壊が発生し、地下2階上部スラブ(約185㎡)まで連鎖的に崩壊した事故で、建設事故調査委員会では、

せん断補強筋の未設置、
コンクリートの品質低下、
地下駐車場上部の超過荷重に対する措置不足

などを事故の主な原因として分析した。

営業停止処分を受けた建設事業者は、営業停止期間中、契約締結、入札参加など新規事業に関する営業行為が禁止されるが、営業停止処分以前に請負契約を締結したり、関係法令に基づき許可や認可などを受けて着工した建設工事の場合には、引き続き施工が可能である。

国土交通部は、不良施工による安全事故の発生に対する国民の懸念を反映し、今後も法令違反事案に対しては厳重な責任を問い、施工品質と安全を確保していく予定だ。

⇒参照・引用元:『韓国 国土交通部』公式サイト「인천검단 사고 행정처분, 영업정지 8개월」

「地下駐車場崩壊事故」というのは、Money1でもご紹介してきた「例の事故」です(下掲写真)。


↑2023年04月29日に起こった「地下駐車場の崩壊」が本件の引き金になりました。このマンションを施工していたのが『GS建設』を中心とするコンソーシアムです。

突然新築マンションの地下駐車場が崩落するというもので、これがきっかけとなって、国土交通部はマンションの全数調査に乗りだすことになりました。

『GS建設』に科されたのは、国土交通部(中央政府機関)による「8カ月の営業停止」だけではありません。実は他にもあるのです。

「ソウル市による営業停止命令」もある!

前日の2024年01月31日、ソウル市(地方政府)が『GS建設』に「1カ月の営業停止」を科しているのです。

以下が『DART』に出た公示です。

『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト

営業停止による影響を受ける金額は「約7.4兆ウォン」。直近の売上金額(2022年連結財務諸表基準の金額)が「約12.3兆ウォン」ですから、その76.2%にも及ぶのです。

なぜ営業停止になったかというと、その根拠は「建設産業基本法第82条第1項第6号」となっています。該当法と条項は以下です。

建設産業基本法
[施行2021.1.1.] [法律第16136号、2018.12.31.、一部改正]

第82条(営業停止等)
第一項
国土交通部長官は、建設事業者が次の各号のいずれかに該当する場合、6カ月以内の期間を定めてその建設事業者の営業停止を命じたり、営業停止の代わりに1億ウォン以下の課徴金を課すことができる。
<改正 2012. 6. 1., 2012. 12. 18., 2013. 3. 23., 2013. 5. 22., 2013. 8. 6., 2016. 2. 3., 2018. 8. 14. , 2018. 12. 18., 2018. 12. 31., 2019. 4. 30.>

(第1~5号略)

6. 次の各首のいずれかに該当する場合

「建設技術振興法」第54条第1項による是正命令を履行しない場合

「建設技術振興法」第48条第4項による施工詳細図面の作成義務に違反したり、建設事業管理を遂行する建設技術人または工事監督者の検討および確認を受けず、施工した場合

「建設技術振興法」第55条による品質試験または検査を誠実に遂行しなかった場合

「建設技術振興法」第62条第2項による安全点検を誠実に遂行しなかった場合

「建設技術振興法」第80条による是正命令を履行しない場合
(後略)

⇒参照・引用元:『CaseNote』公式サイト「建設産業基本法」

営業停止になった理由は「ソウル市品質試験不誠実遂行容疑」となっています。第6号に定めるところは、

・施工図面の作成義務に違反するな
・確認を受けず、施工するな
・品質試験または検査を誠実に遂行せよ
・安全点検を誠実に遂行せよ
・是正命令を履行せよ

ですので、これに違反するというのは「(建設会社として)いい加減」ということです。

ずさんな施工が次々発覚した!

Money1でもご紹介してきましたが、この『GS建設』は他にも多くの問題施工を行っています。

例えば、2023年07月には、雨の日にコンクリートを打設する工事を行って問題視されました。雨水が混じって強度に問題が出る可能性があるので、普通、雨の日にはコンクリ打ちはしません。

↑雨の日にコンクリート打設を行ったというニュースを報じるYouTube『JTBC News』。

ところが、2025年06月入居目標のマンション建設現場で雨の日にコンクリ打ちを行っている様子が目撃され、これが大問題になりました。

2023年09月には、全北益山に建設中(この時点で施行率30%)のマンション(38階建ての5F部分)でザーザー雨漏りするという件が発覚。

↑動画00:20ごろからのザーザー雨漏りしている様子をご覧ください。YouTube『KBS News』チャンネル。


↑新築マンションの建設中だというのに、天井に亀裂が入って滝のように雨漏りするという物凄さ

これもまたひどい有り様です。

営業停止処分の積み上げがされる!

面白いのはここからです。時系列を整理します。

01月31日、ソウル市が1カ月の営業停止を科しました。

02月01日には、「地下駐車場崩落事故」などについて、国土交通部は『GS建設』を含む5つの建設業者に「営業停止8カ月」の行政処分を科しました。

これで終わりではありません。

ソウル市は「安全点検不誠実遂行」の疑いについて03月に聴聞会を開き、追加行政処分を決定します。

ここでもし、さらに「営業停止1カ月」の行政処分が下されたら、8カ月 + 1カ月 + 1カ月で、計10カ月の営業停止処分を受けることになるのです。

自身のいい加減が原因なので仕方ないとはいえ、これは会社存続の危機ではないでしょうか。同社には「流動性確保に問題がある」などの指摘がすでに出ていたのです。

訴訟にもちこんで時間を稼ぐ「小狡い手」を使うつもりだ!

さすがにマズイ状況ですので、『GS建設』側は「行政処分執行停止の仮処分申請」を行う予定とのこと。つまり、行政処分の妥当性について裁判で争って時間を稼ぐつもりです。

この執行停止の仮処分が受け入れられれば、実際の営業停止が行われるには司法の判決を待たねばなりません。判決が出るまでは営業活動に制約がなく、最低数年間営業活動に支障がないのです。

行政訴訟は2審制で、裁判結果が出るまで通常2~3年かかります。

『GS建設』は「弊社は施工会社として責任を痛感し、GS建設のお客さま、株主および国民の皆さまにもう一度深い謝罪を差し上げる」などと、しおらしく述べているのですが、営業停止処分になるのは「お嫌」なのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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