韓国の監査院は大きな力を持っています。
歳入・歳出の決算、国家および法律が定める団体の会計検査、行政機関および公務員の職務に関する監察権を持っています。
指揮系統上は大統領の下にあるのですが、大統領や国務総理(首相に相当)の指揮を受けなくても動けます。つまり、天下御免で政府や公的機関、その人員に独自監察を行うことができるのです※。
※ただし、三権分立の建前上、立法府と司法に所属する公務員を監察することはできません。また、国務総理が「国家的機密」とする事項、国防部長官が「軍機」とする事項も監察できません。
大統領(および大統領府)の掣肘を受けないことから、文在寅のような大統領にとっては恐ろしい機関で、そのため政権末期には、文在寅とのその愉快な仲間たちは「監察院の権限を制限する法」を提案しました。
もちろん「自分たちが監獄に行かなくて済むように」です。
いかにも卑劣な左派・進歩系のやりそうなことですが、監査院は監査についての準備を始めています。
2024年02月15日、監査委員会で議決された「2024年度 年間監査計画」を発表しました。
この中では、2023年に選定した健全財政と経済活力、民生安定、公職規律の4大目標別20分野のうち、国家的に重要な緊急性の高い「高リスク重点分野」を基に、40以上の成果・特定案件を監査することにした――としています。
中には、非常に興味深い項目が挙がっています。以下に挙げてみます。
●コロナ19対応の過程で露出した問題
時系列で診断・分析する。対応過程で露出した問題の原因を診断し、現場従事者に対する補償体系が適切に機能したかも評価する。
●地方空港・国道など社会間接資本(SOC)の計画・建設・運営
適正性を点検する。
●高位公職者犯罪捜査処
文在寅政権下で設置された機関の活動、その結果の適正性
●大統領府行政官のメールハッキング案件
●江原特別自治道
●公務員の政治的中立義務違反事例
「コロナ禍での対応」については、「ワクチン強国」などと誇っていた文在寅政権の内幕がどのようなものであったのか、ぜひ詳細な調査が公表されることが期待されます。
「地方空港・国道など社会間接資本」については、例の、今も建設が続行されている「加徳島新国際空港」についてが明らかになってほしいところです。
「高位公職者犯罪捜査処」は、文在寅大統領の肝いり(「大統領のゲシュタポ」にするつもりだった)で設置されましたが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が収入したとらんに店ざらしになり、処長はひっそりと退任。
高位公職者犯罪捜査処にメスが入るのは、非常に楽しみです。
このように文在寅政権の裏側に監査院が踏み込むことが予測されています。
また、「江原特別自治道」は、例の「『韓国レゴランド』ショック」を引き起こしたアンポンタンな地方政府。監査院が「何があったのか」をつまびらかにしてくれるでしょう。報告が今から楽しみです。
ファン・ヘシク監査院企画調整室長は、「監査は過去2~5年分の業務を調べるという特性上、前政権と関連した事案で埋め尽くされるのは避けられない側面がある」と説明しています。
さあ、文在寅政権がいったい何を行っていたのか――楽しみにいたしましょう。
(吉田ハンチング@dcp)