Money1でも先にご紹介したとおり、韓国が国産と主張する次期主力戦闘機「KF-21」の情報がインドネシアに流出した――と問題になりました。
そもそもインドネシアは、共同開発に参加していたのですが、今ではすっかり及び腰になっており、共同開発の条件だった資金の支払いを滞納しています。
また、インドネシアはすでにフランスからラファールを購入することを決定。あまり韓国産のKF-21に期待を掛けてはいないように見受けられます。
2026年06月までに分担金を全部支払えば、試作機1機と各種技術資料が移転され、48機をインドネシアが現地生産できる。
現在までにインドネシアは約2,783億ウォンしか支払っていない。
韓国『KIA』に出入りしていたインドネシア側の技術者(『PTDI』(PT Dirgantara Indonesia)に所属)がUSBに格納したKF-21関連情報を持ち出した――ということで、実際に情報の持ち出しは「確認された」とのことでした。
韓国当局に摘発されたUSBは計8個。18GBのデータで、資料の点数では約6,600件。当局が恐れているのは、このデータの中にアメリカ合衆国が「輸出管理」規制(EL:Export License規制)に抵触する技術の関連資料が含まれている――と見られる点です(後述)。
この捜査は進められていたのですが――では、現在までに事件がどれほど解明されたのか――です。
2024年02月08日に『KAI』自身の調査が終わった後、国情院・国防部・防衛事業庁が合同調査団を作り、調査を始めました。その後、合同調査団の調査は終了。警察に助力を求め、02月22日には被疑者に対する捜査を要請。2月28日には、KF-21武装搭載設計図面を無断撮影したインドネシア側技術者に出国禁止措置が取られました。
『CATIA』のデータが含まれていたこと――が、一つの焦点になっています。
『CATIA』は、『ダッソーシステムズ』のハイエンド3次元CADツールです。自動車や家電、船舶、航空、日常品など多岐にわたって使われるハイエンドのCADですが、製造業において多くのユーザーがいます。
この『CATIA』の「KF-21設計図面」が流出したなら、まるっとパクれることになるのです。
『朝鮮日報』の報道によると元『KAI』職員は「アメリカ合衆国が提供したF-16の図面を基に、国産超音速訓練機T-50を『CATIA』でモデリングして開発。これを基にFA-50を成功させた。 KF-21の開発にもT-50、FA-50のノウハウが全て含まれている」と語ったとのこと。
問題は「合衆国製の技術が流出したのか?」
問題は、合衆国の技術が今度の事件でインドネシアに流出しなかったか?――です。本件を報じている『朝鮮日報』の書きようを見てみましょう。
(前略)
専門家は「USBに合衆国が”非公式”に支援する技術や輸出管理(EL)技術があるのではないか」と懸念している。「今後、合衆国側が問題を提起する場合、KF-21の研究開発陣の立場からすれば、萎縮するしかない」というのだ。
KF-21は国産技術で開発しているが、一部の核心技術は合衆国の「非公式支援」の下で開発した。代表的なものに、
●AESAレーダー(位相配列レーダー)
●IRST(赤外線捜索追尾システム)
●EOTGP(EO照準ポッド:Electro-Optical Targeting Pod)
●RF Jammer(無線周波数ジャマー)がある。
2015年4月、韓国はKF-21の開発を控え、合衆国に上記4つの技術を含む最新鋭戦闘機開発に必要な技術を支援してほしいと要請したが、当時合衆国は公式に拒否した。
代わりに合衆国は非公式に先端技術開発を手伝い、この先端技術がイスラム国家であるインドネシアに渡ることを望まなかった。
(後略)
驚くのは、公式に提供を拒否したという技術について、合衆国が非公式に支援した――と書いている点です。
もし、これが本当だとして、合衆国が「韓国にのみ」として非公式に支援した技術が、インドネシアに漏れたのなら大問題です。合衆国が「お前らは何をやっとるんじゃ!」と韓国を締め上げることになるでしょう。
↑KF21の「EO TGP」のCG。PHOTO(C)『ハンファシステムズ』
『KAI』は現在も「防衛機密に当たるものは漏れていない」という立場を崩していません。
「インドネシアとは2016年から共同開発を行っており、共同開発に必要な技術資料は提供している。ただ、提供が許可されていない資料がインドネシア側に渡ったのかどうかは調査中」としている――とのこと。
(吉田ハンチング@dcp)