そもそも韓国は賃金不払いがよく発生する国です。
先にご紹介したとおり、韓国の2023年の賃金不払い滞納額は「1兆7,845億ウォン」と集計されています。
日本はどうなっているかというと、厚生労働省の「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)」によれば、全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数、対象労働者数及び金額」は、2022年は計「121億2,316万円」となっています(令和5年の分はまだ公表されていません)。
⇒参照・引用元:『日本国 厚生労働省』公式サイト「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)を公表します」
韓国の「1兆7,845億ウォン」は、ざっくり1/10で計算しても「1,784.5億円」です。日本より1桁多いですし、人口も、
日本:1.251億人
韓国:0.5163億人
※どちらも2022年時点
と、比でいうと「2.43 対 1」ですから、人口比も加味すれば、韓国の不払い賃金というのは日本の「約35.8倍」もあることになるのです。
※集計の仕方、また2022年と2023年を比較している点に留意してください。
Money1でもご紹介しましたが、第1四半期の不払い賃金の動向からいって、韓国では2024年の不払い賃金の合計が過去最大規模になることが予想されます。そのためでもないでしょうが、韓国の公正取引委員会が建設会社の賃金不払いについて調査を始めている―という報道が出ています。
対象となっているのは『大宇建設』と中堅建設会社3企業とのこと。例えば、『毎日経済』では以下のように報じています。
(前略)
請負契約を結び、下請け代金の一部を「留保金」として定め、支払いを遅らせたという疑惑を調査されている。一種の「保証金」名目で10%程度を期限内に支払わないという方法である。例えば、下請け業者が作業を終えたら代金のうち90%だけを支払い、残りの10%はマンションが完成した後に支払うという方式だ。
下請法では、事業者が製造などの委託をする場合、目的物の受領日から60日以内に下請け代金を支払うよう定めている。
(後略)
と説明されています。例えば、マンションの鉄筋屋さんが担当の作業をし終わって請求しても「まだマンションが完成していないから駄目」などとされるわけです。
「留保金は建設業界の古い慣習で、下請業者の被害が少なくない」とのこと。
韓国政府の眼目は、PF問題で建設業界における中小企業(また個人事業主)の資金流動性の問題はなんとかしなければ――という点にあるものと思われます。留保金などの名目でお金が支払われないと、その分お金が滞るわけですから。
今さらか――という話なのですが、このようなことをしないといけないほどPF問題は根が深いともいえます。
(吉田ハンチング@dcp)