どの国でもコロナ禍からの回復で外国人観光客が増加しています。
もちろん韓国でも、外国人韓国客は大幅に増加しています。
韓国の文化体育観光部(および『韓国観光公社』)によると、2024年第1四半期の訪韓外国人観光客は、以下のように集計されています。
2024年第1四半期 訪韓外国人はどこから?
第1位 中国……102万人
第2位 日本……67万人
第3位 台湾……31万人
第4位 米国……24万人
第5位 香港……11万人同期間訪韓外国人観光客:340万3,000人
データ出典:『韓国 文化体育観光部』
03月は特に外国人観光客が増加し、03月1カ月だけで「149万2,000人」――約150万人を達成しました。03月で陽気がよくなったのと、欧米のスプリングブレイク(日本も春休み)などが効いたと考えられます。
コロナ前の2019年第1四半期と比較して、訪韓外国人は88.6%まで回復しています。
ところが……奇妙な現象が起こっています。
お客さんが2.4倍になったのに「免税店企業が赤字」の不思議
外国人観光客は国内でお金を落としてくれる大変ありがたい存在ではありますが、観光客が回復して喜ぶのは免税店。特に韓国の場合には、免税店は大きな商売です。
読者の皆さんも「明洞の免税店では日本人観光客の熱風を感じる」「免税店では日本人の代わりに中国人がメインの客となった」などの、免税店にまつわる報道をご覧になったことがあるでしょう。
外国人観光客が戻ったはずなのに、免税店の業績はとても良くありません。
韓国を代表する『ロッテ免税店』は2024年第1四半期「営業利益:-280億ウォン」。同社は2023年第3四半期から営業利益はマイナスで直近四半期までで「-537億ウォン」となります。
では『ロッテ』だけがダメなのか? 答えは「NO」です。以下をご覧ください。
2024年第1四半期「営業利益」
『ロッテ免税店』:-280億ウォン(赤字転落)
『現代百貨店免税店』:-157億ウォン(赤字継続)
『新世界免税店』:+72億ウォン(-17.1%)
『新羅免税店』:+59億ウォン(-77%)※( )内は対前年同期比の増減
上掲のとおり、営業利益がプラスであっても、利益額は大幅に減少しています。
次の数字もあります。
『韓国免税店協会』の集計によれば、03月に国内の免税店を利用した外国人数は74万人。前年03月が「31万人」ですので、対前年同期比で「約2.4倍」に増えました。
ところが、売上高は逆に「-9%」の「9,326億ウォン」となっています。なぜこんなことになったのですが……。
本件を報じた韓国メディア『毎日経済』は、
「中国現地の景気低迷により、免税業界の「クジラ」である団体観光客と転売屋の消費が減少した状況だ。
高い為替レートで免税店の価格競争力が低下し、外国人観光客の旅行パターンがショッピング中心から純粋観光に変化したことも影響した」
と報じています。ウォン安が進行したので、「別に免税店で買わなくてもいいや」となるのはうなずけます。客が約2.4倍になったのに売り上げ維持できなかったということは、1人当たりの売り上げが少なくとも「1/2.4」(約41.7%)未満に下がったのです。
「韓国で買うものはない」という意味とも受け取れますが、それはともかく、免税店商売が困ったことになっているのは事実です。
『毎日経済』によると『ロッテ免税店』では「希望退職など段階的な人員調整を検討」――とのこと。
(柏ケミカル@dcp)