合計特殊出生率が世界最悪となり、韓国は「世界最初に人口減少で消滅する国」と目されています。
どうにかして人口を増やさないと、本当に消滅するぞ――なのですが、解決策などそう簡単には見つかりません。何度もご紹介していますが、韓国政府はこれまでに少子化対策として累計300兆ウォン※も投入しました。
それでも、ちっとも上向かないのです。
※少子化対策費用の累計額はメディア・識者によってマチマチです。「これ政策少子化対策なの?」というものがあるからです。数字は250兆ウォン、300兆ウォン、320兆ウォンなどさまざま提示されています。
この人口減少にどう対して、「移民を増やせばいい」と言う人がいます。韓国にもいます。
移民をどんどん増やすなんて不可能だ――という非常に良い記事を韓国メディア『東亜日報』が出しています。
要は「人口資源の取り合いなのだ」
日本にも「移民をどんどん入れよう」という意見はあります。「いや、外国人が入ってくるのは困る」という意見と拮抗し、罵り合いのような状況もあります。しかし、このような議論は「日本国内」に注目した話です。
問題は、グローバルでも見た場合にどうなるか?です。
先進国では、韓国ほどではないにせよ、やはり合計特殊出生率※は下がっています。人口大国であるインドもやがては合計特殊出生率が低下するものと見込まれます。実際、地球上にある各国の合計特殊出生率は全体として下がっているのです。
※合計特殊出生率は「女性一人が15歳から49歳までに出産する子供の数の平均」です。この数字が2.2ないと人口は増えていかないといわれます。
上掲は、『GBD』(世界疾病負荷調査)が出したグラフですが、水色が世界全体での合計特殊出生率の推移(予測含む)です。破線のクロスは、2021年時点。世界出生率は「2.23人」です。
上掲のとおり、なだらかに下っていきます。戻すことはありません。
2050年には「1.83人」まで下落すると見られています。現在の人口が維持できる「代替出産率」は「2.1人」とされます。つまり、世界的にも人口は維持できません。
人類の出生ピーク(Birth Peak)」は年間1億4,200万人が生まれた2016年。2021年には出生数が1,300万人減った「1億2,900万人」となりました。出生数ではすでに人類の「人口のピークアウト」が始まっているのです。
全世界的に、「人間」という人口資源が急減していくことになります。
仮に、先進国はじめどの国でも「移民をどんどん入れたい」となっていたら、どうなるでしょうか。「移民募集」は人口資源の取り合いということになります(すでに一部始まっていると見るべきです)。
韓国は移民によって今の人口水準を維持できない
――で、韓国の話に戻ります。本件を報じた『東亜日報』の記事から以下に一部を引用します。
(前略)
そして、もう一つ知っておくべきことがあります。韓国のように出生率が極端に低い国は、移民で今のレベルの人口を維持することは事実上不可能です。
なぜなら「連れてくるべき移民の数が多すぎるから」です。
『ペンシルベニア大学』経済学部のヘスス・フェルナンデス教授がポッドキャストで韓国を例に挙げて説明しました。
彼は、
「韓国が移民で現在の人口を維持するためには、韓国人が自国内で少数民族になる必要があります。
単一民族が99%だった国が他の民族が70%の国に変わったことがありますか?
政治システムがこのような変化を消化できるでしょうか? 私はこのレベルの移民を支持する政治を見たことがありません」
と説明しました。
韓国人が人口の30%の少数民族になる韓国。 果たして誰が受け入れられるのでしょうか。
(後略)
移民で減少分をカバーして人口を現在の水準に維持しようとしても、合計特殊出生率が低すぎるので、朝鮮民族があっという間にマイノリティーになってしまうぞ――という指摘です。
「(現在の)韓国人はそれに耐えられるのか?」という問いかけです。
恐らく無理でしょうし、移民希望する人がいたとして「そもそも韓国に行きたいか?」という点も問題です。人口資源の争奪になった際、韓国に「他国より魅力的なところ」などあるのでしょうか。
※今回ご紹介した『東亜日報』記事は非常な優れものです。ぜひ読者の皆さんも上掲URLのオリジナル記事をご覧ください(ただし朝鮮語です)。
(吉田ハンチング@dcp)