韓国は国富のほとんどが不動産という異常な国です。これは「不動産はいつも右肩上がり」という神話に支えられ、企業も家計も不動産市場にお金を突っ込み続けた結果のことです。
そもそも内需が弱い国で、まともな内需は不動産しかありません。そのため、当然の帰結だともいえるわけですが、今また家計負債が増加し、不動産価格を上げようとしています。
興味深いのは今回は不動産価格の上昇が首都圏、特にソウル市に偏っていることです。韓国は合計特殊出生率が「0.72人」と世界最悪な状況で、日本より速く老いて人口が急減していきます。
そのため現在の不動産市場も維持できるわけがなく、ニーズが高い首都圏、ソウル市に需要が集中するのは当然のことです。
以前、(日本の)不動産業者さんに取材したことがありますが、少子高齢化の進む日本において不動産価値を維持したいのであれば(東京の場合)山手線の内側、これがテッパン――とアドバイスされたことがあります。似たような話です。
今回の家計負債の増加・不動産市場の盛り上がりは(DSR規制が掛かる前の駆け込み需要の面もアリ)、人口減少に備えた不動産エリア選別の面があるのかもしれません。
それはともかく、また増加を始めた家計負債に関して、韓国の家計にとってどのくらい不動産が重要なのかを見てみましょう。
家計が保有する資産における不動産資産の割合を、(先進国だと言い張っているので)他国と比較すると以下のようになります(データは2021年時点)。
上掲とおり、家計の資産に占める不動産資産の割合は韓国の場合、「78.6%」にも達します。これが国富のほとんどが不動産になる理由でもあります。
また、これが韓国政府が不動産市場の右肩を上げていないといけない理由にもなっています。不動産市場が大きく下がると、韓国の皆さんの資産が激減することになるからです。
(吉田ハンチング@dcp)