中国では「サッカー大好き」な人が多いですが、国際試合は国威発揚の場にもなります。
「2026年ワールドカップのアジア最終予選(C組)」の日本は、2024年09月05日、埼玉スタジアムで行われた試合で中国を「7-0」で下しました。
日本の立場では圧勝ですが、中国からすれば大惨敗です。
7-0という結果は中国の皆さんに衝撃を与え、「何をやっとるんだ」と自国チームに対して非難轟々。
「勝てるとは思わなかったけど0-7ってなんだ」「負けるにしてもスコアがひど過ぎる」などの声がネットに満ちました。
『中国サッカー協会』(中国足球协会:Chinese Football Associationで略称「CFA」)も槍玉に上がりました。
国民の声に応えなければ――というわけでしょうか、2024年10月24日、『CFA』は「第7回学習講座」を開催。
国家体育総局副局長、CFA党委書記の張家勝さんが「ワールドカップ予選の日本戦の反省」をテーマに講演を行いました。
中国では民間企業などの組織にも中国共産党から人が送り込まれるのが常ですが、サッカー協会にも共産党員が入って監督しているのです。これは政治圏からの介入にならないのでしょうか。
なにせ、『CFA』の公式サイトには以下のような記述があるのです。
↑『CFA』公式サイトに思いきり赤旗が翻っており、黄色マーカーの部分には以下のように書かれています。中国足球协会党委发挥政治核心作用,履行管党治党主体责任。紧紧围绕党章赋予基层党组织的基本任务开展工作,严肃组织生活,严明政治纪律、政治规矩和组织纪律。充分发挥党组织的战斗堡垒作用和党员的先锋模范作用。
中国サッカー協会(CFA)の党委員会は、政治的な中核的役割を果たし、党の統制と管理における主体的責任を遂行します。
党章※に基づく基層党組織の基本任務に沿って業務を進め、厳格な組織生活を実施し、政治規律と組織規律を厳守します。
また、党組織の戦闘的な拠点としての役割と、党員の模範的なリーダーシップを十分に発揮することを目指します。
※党章とは、中国共産党の根本的な規則と指針を定めた文書で、「中国共産党章程」の略称です。この章程は、党の使命、組織の構造、規律、党員の権利と義務、組織運営の原則などを規定しています。/引用者注
『FIFA』の規定では、サッカー協会やリーグ運営は政府や政治の干渉を受けないことが原則とされています。
これは、各国のサッカー協会が独立して運営されるべきというFIFAの基本方針に基づいています。違反が発覚した場合、資格停止や大会からの除外といった厳しい制裁が科される可能性があります。
しかし、中国の『CFA』は政治的に中国共産党の監督を受けるものだ――と書かれています。これは問題にならないのでしょうか。
「反省会」講演の内容はどんなだった?
もっとも中国では共産党の息のかかっていない組織などありはしない(存在いできない)ので、今さらいっても仕方ないのかもしれません。
政治的な話はともかく、今回の反省会では――張家勝さんは、09月05日の日本戦と06月11日の韓国戦を比較し、試合の目標設定、戦術、コミュニケーション、チームの士気における問題点を分析しました。
過去の国家代表チームの度重なる失敗を踏まえ、次の5つの課題を指摘した――とのこと。以下が5つの課題です。
1.協会のリーダーシップの不足
2.監督の主導的役割の不十分さ
3.選手の主体性の欠如
4.国管部(国家代表チーム管理部)の機能不全
5.各部門間の協力不足
また、張家勝さんは、今回の日本戦を教訓として、サッカーの青少年育成、プロリーグ改革、国家代表チームの整備、協会の内部改善といった重点課題に取り組む必要性を強調しています。
このような指導で中国のサッカーチームが強くなれば誰も苦労はしないのですが、来る2024年11月19日20:00、中国福建省厦門市で、中国 vs 日本が再び行われます。
この「中国のホームゲーム」は、どのような結果になるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)