2024年11月07日、『韓国銀行』が「2024年09月時点での国際収支統計」を公表しました。
以下をご覧ください。
2024年09月
貿易収支:106億7,020万ドル
サービス収支:-22億4,380万ドル
第1次所得収支:30億8,650万ドル
第2次所得収支:-3億8,850万ドル
経常収支(上記4つの合計):111億2,440万ドル⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
当月は経常収支が100億ドルを超えて「111億2,440万ドル」となりました。06月に記録した「125億6,380万ドル」以来の数字で、当月は絶好調な数字です。
理由は、いつもどおりで「貿易収支」の結果が良かったからです。当月は貿易収支が「106億7,020万ドル」もあります。
これも06月の「117億4,180万ドル」以来の好成績です。
経常収支の方は好調で、韓国メディアも喜んでいるかもしれません。経常収支側で100億ドルを超えているということは、金融収支側でも同じ規模が記録されているということです。
韓国への直接投資は
実は当月も金融収支の方が興味深いのです。
2024年09月の金融収支は「126億7,580万ドル」もあります。2024年01月はわずか「28億630万ドル」しかありませんでした。何が膨らんだのでしょうか?
まず「直接投資」を見ます。10月の直背投資(の収支)は10億3,050万ドルしかありません。
資産の部:24億6,920万ドル
負債の部:14億3,870万ドル
収支:10億3,050万ドル
直接投資によって対外資産が10.3億ドル増加しました。ここで注目したいのは、負債の部です。
負債の部は、外国からの投資によって「外国が保有する韓国資産がどのくらい増えたのか」を示しています。
2024年01~09月累計は「95億3,880万ドル」です。つまりこれだけ外国から投資があったわけです。
ところが、2023年の01~09月は「100億3,170万ドル」でした。つまり対前年同期比で韓国に対する直接投資は「4.9%減少」しました。
外国から韓国への直接投資は減少しています。
韓国から外国へ出ていくお金が1.7倍に増加した
次に証券投資。文字どおり、韓国から外国へ・外国から韓国への「証券に投資する」ことで収支がどうなったのかの数字を示しています。
証券投資(の収支)はなんと88億30万ドルもあります。
資産の部:75億270万ドル
負債の部:-12億9,760万ドル
収支:88億30万ドル
「資産が増えたー万歳」というのもいいのですが、これは海外の証券にその分お金を突っ込んで資産を増やしているので、要はその分キャッシュアウトしていることを示しています。
上掲表組の黄色のマーカー部分が2024年01~09月の資産増加額(キャッシュアウト額)になるのですが、累計で「679億2,010万ドル」にもなります。
いくらなんでも出て行き過ぎです。
2023年の同期、すなわち01~09月の累計は「387億1,760万ドル」ですから、2024年は前年と比較して「約1.75倍」です。
つまり、韓国から外国の証券への投資が対前年比で「約1.75倍」になり、その分キャッシュアウトしたのです。また、ウォンからドルに換えて投資を行いますので、これは当然ウォン安の原因になります。
Money1でもご紹介してきたとおり、韓国の個人投資家の皆さんは自国の株式市場に見切りをつけて、特にアメリカ合衆国市場にお金を投じるようになっています。また、国民年金機構なども外国の証券市場に資金を多く振り分けるようになっています。
これが大きなキャッシュアウトを生んでいるものと見られます。
もう一つ面白いのは、外国から韓国の証券市場への資金投入が減っていることです。
上記のとおり、負債の部が「マイナス」になっています。これは、外国から韓国証券市場に投入されて「外国の資産」になったものが、その金額だけ減少したこと(韓国から見ると負債が減ったこと)を意味します。
つまり、外国が韓国から資金を抜いたわけです。
資産の部と同様に負債の部を累計してみると、2024年01~09月累計で「271億2,270万ドル」です。これだけの資金が投入されました(正確には外国が保有する韓国の証券の資産が増加した)。
ところが、2023年01~09月累計では「304億7,200万ドル」あったのです。
つまり、外国から韓国の証券市場に投入される資金は、対前年比で「11.0%減少」しました。
国際収支統計からは、韓国から外国への資金投入が増加し、外国から韓国への資金投入が減少していることが明らかです。
もちろん配当を得られたりしますので、外国の資産に資金を投入することは悪いことではありません。しかしながら、韓国への資金投入が減少しているのは懸念されます。
(吉田ハンチング@dcp)