2024年12月20日、アメリカ合衆国の商務省がCHIPS法(CHIPS and Science Act)に則って、韓国『サムスン電子』に補助金47億4,500万ドル(約6兆9,000億ウォン)の補助金を支給しました。
韓国『サムスン電子』はMoney1でもご紹介してきたとおり、合衆国テキサス州テイラー市にファウンドリーを建設中です。半導体輸出が懸念されることになったため、合衆国に半導体製造拠点を造って補助金もらい、ガラをかわそう――という目論見で――鉄火場で工場を建設することになりました。
ところが、トランプさんが大統領に選出されました。
そのため補助金がもらえるかどいうかも怪しくなっていたのです。
そんな懸念の中、合衆国商務省は以下のプレスリリースを出しました。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。CHIPS for Americaが主要5社すべての先端半導体企業と契約を獲得
本日、バイデン・ハリス政権は、合衆国商務省がCHIPS(半導体生産強化)インセンティブプログラムの商業製造施設向け資金提供枠の下で、『サムスン電子』(Samsung Electronics、以下サムスン)に最大47億4,500万ドルの直接資金を提供することを発表しました。
この資金提供は、2024年04月15日に発表された予備的な合意覚書(MOU)と、商務省によるデューデリジェンス(慎重な調査)の完了に基づくものです。
この資金は、サムスンが今後数年間で370億ドル以上を投資し、テキサス州中部の既存の拠点を合衆国内の先端半導体開発・生産の総合的なエコシステムへと変革するために使用されます。
具体的には、テイラー市での新しい先端ロジック半導体製造工場2棟と研究開発(R&D)施設の建設、さらにオースティン施設の拡張が含まれます。
商務省は、プロジェクトの進捗状況に応じて資金を分配する予定です。
ジーナ・レモンド商務長官のコメント
「今回のサムスンへの投資により、合衆国は世界で唯一、先端半導体のトップ5企業すべてを有する国となります。この偉大な成果は、AIや国家安全保障に不可欠な最先端半導体の安定した国内供給を確保し、数万人規模の良質な雇用を創出し、全米各地の地域社会を変革するものです」と述べました。
また、「超党派のCHIPSおよびサイエンス法のおかげで、次世代のイノベーションを解き放ち、国家安全保障を守り、世界経済における競争力を強化しています」と述べています。
ラエル・ブレイナード国家経済会議(NEC)議長のコメント
「今日の発表により、合衆国は先端半導体企業5社すべての製造工場を有する唯一の国となります。先端半導体の製造は、AIやその他の先端技術のサプライチェーンにおいて重要な役割を果たします」と述べました。また、「今回の発表により、サムスンは370億ドルの製造投資を解き放つことになります。サムスンは、先端メモリチップと先端ロジックチップの両方でリーダーとなっている唯一の半導体企業です」と述べています。
サムスンの取り組みと影響
サムスンは、合衆国で未来の技術開発を進めることで、合衆国の経済・国家安全保障を強化し、米国および世界の半導体サプライチェーンの回復力を高めるための一歩を踏み出しています。サムスンが示した投資の規模と範囲は、同社が1996年以来、合衆国で半導体を製造し続けてきた姿勢を反映しています。
今回のCHIPS投資は、今後5年間で約1万2,000件の建設雇用と3,500件以上の製造業雇用を創出するとともに、地域の商業成長を促進します。
また、州内の2年制および4年制大学の教育基盤を活用して、今回の投資で必要とされる重要な役割を担う熟練労働者を育成することを目指します。
サムスン電子デバイスソリューション事業部(DS部隊:引用者注)のチョン・ヨンヒョン副会長兼CEOのコメント
「合衆国で約30年にわたる半導体製造の経験を持つ私たちは、アメリカのパートナーや顧客、そしてテキサス州全体の地域社会と築いてきた長期的な関係を誇りに思い、感謝しています」と述べました。また、「本日のCHIPSおよびサイエンス法に基づく合意は、米国で最先端の半導体エコシステムを構築するためのもう一つの重要なマイルストーンです。AI時代の進化するニーズに応えるため、アメリカのパートナーとのさらなる協力を楽しみにしています」と述べています。
韓国メディアでは、レモンド商務長官の「今回のサムスンへの投資により、合衆国は世界で唯一、先端半導体のトップ5企業すべてを有する国となります」という言葉を取り上げて、誇らしい――としています。
また、合衆国が支給を決定した「47億4,500万ドル」に対して、「当初発表していた金額より約26%減額した」などと書いています。
この書きようだけ見ると、まるで「合衆国に後頭部を殴られた」――合衆国が約束を守らなかったように思うかもしれませんが――違います。
当初『サムスン電子』は「440億ドル」を投資する予定(64億ドルの補助金をもらうつもりだった)でしたが、これを一部撤回して370億ドルとしました。この減額に対しての措置が26%のカットと見られます。
さらには、「もう47億4,500万ドルもらった」みたいな報道も散見されますが、これも違います。
上掲の商務省のプレスリリースにもありますが、設定されたマイルストーンごとに資金が供与されるので、『サムスン電子』は約束したとおりプロジェクトを進展させないといけません。
言うだけでお金がもらえわけではないのです。韓国企業の最も苦手な「言ったとおりにやる」ことが求められています。
(吉田ハンチング@dcp)