↑2024年12月16日、『現代ロテム』は広域鉄道路線「大慶線(クミ駅~キョンサン駅、61.85km)」の電車に韓国型列車制御システム(KTCS-2、Korean Train Control System-2)」が初めて適用(2024年12月14日)された――と公表しました。
先にご紹介した『現代ロテム』の「K-鉄道信号」がどういうものなのか、筆者にはよく分からなかったので、知り合いの著名な鉄道ライターさんに聞いてみました。
この鉄道ライターさんによれば、『現代ロテム』の出したプレスリリースについての意見は以下のようなものでした。
「K-鉄道信号の件は、なかなかすごいことです。
鉄道業界では世界的に「CBTC(Communications-Based Train Control)」と呼ばれているシステムです。
列車の位置情報を無線によってリアルタイムにサーバーへ送り、列車の間隔に応じて速度制御を行います。
⇒参照・引用元:『Wikipedia』「CBTC」
従来の列車制御は「閉塞」と呼ばれるもので路線を一定の間隔で区切り、1区間に1つの列車だけ存在させる方式です。
つまり、路線を A-B-C-D……という区間の連続に対して、区間Bに列車が存在する場合、区間Aの列車は区間Bに進入できません(赤信号)。区間Bの列車が区間Cに入ると、区間Aの列車は区間Bに徐行進入できます(黄信号)。
もし、先行列車が区間Dより遠ければ、区間Aの列車は青信号となり、最高速度で走れる、という感じです。
こうして追突を避けるわけです。
この場合、各区間の最低距離は、最高速度で非常ブレーキによって停まれる長さになります。
閉塞を細かく割るほど列車の運行本数を増やせます。しかし、閉塞区間を増やすほどコストは上がります。
CBTCは、列車の位置を常に把握して、先行列車と後続列車の安全な距離を保ちます。
高速で走っていれば車間距離を長く、低速なら車間距離を短くします。
こうすることで、従来の閉塞方式に比べて運行本数を増やせたり、徐行や赤信号停止を減らして列車のスピードアップが可能になります。
日本でも導入が進んでおり、仙石線で初採用され、こんど丸ノ内線で実装されます。
日本ではJR東日本、日本信号、三菱電機などが開発しています。世界的にはシーメンス、タレス、アルストムなど欧州メーカーが採用されています。
韓国もそうでした。
実績も多く機器も安くなる一方で、導入費用や年間保守契約料を海外のメーカーに支払い続ける必要があります。
長い目で見れば、自社開発したほうが安く付くかもしれない。
少なくとも外貨を持って行かれるよりマシ、といったところ。
だから自社開発の成功は「がんばったねー」です。
ただし、K-鉄道信号(KTCS-2といった方がカッコいいですw)が、輸出するレベルになるかというと、少なくとも国内で10年以上の無事故実績がほしいですね。
LTE技術を使っているので、携帯電話部品に実績がある韓国なら低価格で導入できそうです。あとはプログラム技術かな。
韓国の技術って、鉄道だけではなく、建設土木でもなんとなくツメが甘い気がします。
鉄道ライターさんの目では、今回の運行開始は「頑張った結果」とのこと。ただし、輸出できるようになるかは、「無事故の実績」が10年間はほしい――そうです。
(吉田ハンチング@dcp)