まず中国です。
読者の皆さまもご存知のとおり、中国経済は「すでに崩壊している」といっていい状況で、一番の商都といわれる上海ですら、飲食店などがバタバタ倒れ空き店舗が目立つようになっています。
「不況でも儲かるのは中古厨房用品販売業者」といわれます。廃業した店舗から業務用の厨房用品を引き取って、きれいにして販売するのです。
飲食店を開業したいという人は次から次へと出てくるので、うまく回転させれば大儲け――というわけです。。
しかし、その中古厨房用品業者ですら「もう無理」となっています。なぜなら引き取った調理用具を保管する倉庫がいっぱいな上に、売れません。
つまり、飲食業の廃業が続いているのに、創業がほとんどないという末期症状に陥っているのです。
これとそっくり同じ状況が韓国でも発生しています。
どん底景気の韓国でも中国と似た状況が発生している!
韓国メディア『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引用してみます。
(前略)
作業班長のキム・ソンマン(73)さんは、店内の大型冷蔵庫、バーベキューグリル、シンク、食器洗浄機、フライヤーなどの厨房機器から電気コードを取り外していった。すでに大きな家具類は整理され、冷蔵庫の中にはまだレタスやピクルスが残っていた。この店は3日前に閉店したばかりだった。
大きな厨房機器を撤去した後、スタッフは店内の整理を始めた。
メニューボードや装飾品を袋にまとめ、ゴミは200Lのゴミ袋に詰め込んだ。ホールの隅には、店主が履いていた作業靴がぽつんと残されていた。
それを見たスタッフの一人がため息をつき、「頑張って働けばうまくいくってものでもないんですね……」とつぶやいた。
約5時間の撤去作業を終え、厨房機器をトラックに積み込んだ。新たな買い手が見つかった唯一の家具は大型オーブンで、これは京畿道始興(シフン)市のある飲食店へと配送された。しかし、それ以外の厨房機器は1トントラック2台分にもなった。
キム氏は、「コロナ初期の2020年、2021年以来、これほど撤去依頼が多い時期はなかった。『昨日開業した店が、翌日にはもう潰れている』と言われるほどの状況だ」と話した。
自営業の苦境は、金融データにも現れている。
韓国銀行の「自営業者向け融資状況」によると、2024年第3四半期末時点で自営業者の金融機関からの総借入額は1,064兆4000億ウォンに達し、2012年の統計開始以来、過去最高を記録した。
自営業者の延滞額も同時期18兆1,000億ウォンに達し、前四半期より2兆2,000億ウォン増加して過去最大規模となった。
(後略)
廃業が多く発生して、飲食業がひどい状況になっているのが分かります。では中古厨房用品の業者の皆さんは儲かっているかというと――これがさっぱりなのです。
同記事では以下のように言及しています。
(前略)
景気が冷え込み、中古品が市場にあふれる中で、廃業整理業者すら経営難に陥っている。京畿道楊州市の中古厨房用品業者の代表キム・デヒョン(50)さんは、「2024年12月以降、買い取りを完全に停止した」と話す。
「以前は1カ月もすれば倉庫の在庫がすべて売れていたが、今は3カ月経ってもほとんど動かない」
在庫過剰の影響で、業界全体で価格も下落している。
京畿道水原市の中古家電販売業者のイ某(45)さんも、「今や国内では売れず、東南アジアやアフリカに輸出しないと処理できない」と語る。
通常150~180万ウォンで売られていたが、今では30万ウォン程度で処分されているという。
(後略)
最後に出てくるのは中古家電の業者さんですが、150~180万ウォンで売れていたのに、今では30万ウォンですから1/5以下になっているわけです。これでは中古業者さんも困りますね。
――というわけで、中国と韓国では、飲食業など自営業者の店舗がバタバタ倒れて、中古厨房用品業者も「もう無理っス」という状況に陥っていいます。
中国と韓国ともに「どん底景気」なのです。
(吉田ハンチング@dcp)