昭和30年・40年代の「呑み屋」! いくらで呑めた!?

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居酒屋の起源は江戸時代にまでさかのぼりますが、その当時から居酒屋は「安く楽しめる庶民の味方」でした。その伝統は現在まで続いていますね。では、昭和30年代終わりから昭和40年代はどのくらいの価格で飲めたのでしょうか!? 今から50年くらい前の居酒屋・飲み屋のお値段を調べてみました。


まずお酒の値段です。61年前の1965年のお酒の小売価格を調べてみますと……。

●1955年(昭和30年)
ビール(大びん)1本……125円
清酒1.8リットル……520円
焼酎(甲類)1.8リットル……360円

だいたいこのくらいだったようです。では、居酒屋ではいくらで飲めたのでしょうか? 昭和30年ぴったりの資料は見つかりませんでしたが、奥付に「昭和38年9月15日初版発行」となっている『東京うまい店二〇〇店』の『瓢箪亭』というお店の紹介ページに、

・特級酒……140円
・ビール……180円

という表記があります。200円未満でお酒は飲めたようです。

では、居酒屋で出される料理はどのくらいの価格だったのでしょうか。奥付に「昭和42年12月5日初版」とある『東京珍味たべある記』(柴田書店刊・著:富永一朗)の五刷(昭和47年9月5日刊)を国会図書館で見つけました。1972年(昭和47年)ですから、今から43年前の価格が分かります。

同書の「さくいん」(P.218-P.222)で「酒場」と分類されているお店は4軒。その価格はこうなっています。

●飯田橋・伊勢藤
五品一汁……160円
(いかの黒作り・うの花・きぬかつぎ他にお新香・みそ汁)
とうふ……50円
なっとう……50円

●四谷駅前「しんみち通り」・酒蔵多聞
季節のさしみ……300円
とり料理……300円
お茶漬け……100円
おにぎり……50円
湯豆腐……100円

●池袋・やきとん千登利
やきとん(一串)……20円
肉豆腐……80円
うずら焼(一羽)……120円
うずら玉子焼(一串)……30円
ひな鳥もも焼……時価

●神田・平家
倶利伽羅(牛肉)……一本60円
屋島(蛤)……一本60円
厳島(いいだこ)……一本60円
淡路(きす)……一本60円

当然かもしれませんが「安っ!」と思いますよね。次に、現在も営業している有名店の「43年前のお値段」を見てみましょう。

●渋谷・ぼてぢゅう(お好み焼)
ぶた卵入お好み……150円
ミックス焼……200円
ぶた入焼そば……150円
かき入焼そば……150円
いか入焼そば……150円

●渋谷・くじら屋(くじら料理)
尾の身さしみ……250円
印度焼……150円
げいじすかん鍋……300円
からし酢みそ……80円
焼肉……300円

●両国・ひょうたん(ふぐ料理)
ふぐちり……400円
ふぐさしみ……600円
むしかれい……200円から

●両国・ももんじや(猪料理)
猪鍋……300円・600円
熊鍋……600円
鹿鍋……600円
熊テキ……300円
鹿さしみ……300円

●新宿・つな八(天ぷら)
天ぷら(一品)……40円-160円
天ぷら定食……450円
さしみ……250円-300円

当時は「くじら」はそれほど高級メニューではなかったことが分かります。また「ふぐ」「天ぷら」は、当時の飲み屋さんの相場感からすれば確かに高いですが、そこまで高級とはいえないのではないでしょうか。現在ジビエ料理で有名な『ももんじや』では、当時は「たぬき鍋「きつね鍋」がメニューにあったと書かれています。

同じく、富永一朗先生の著作『東京バッチリたべある記 安くてうまい223店舗』(昭和48年12月25日初版発行)には、あのすき焼きの名店の当時のお値段が出ています。

●浅草・米久(すき焼)
すきやき……730円・830円・1,130円・1,630円
しゃぶしゃぶ……800円

すき焼きは当時から高級だったようですね。これが「のれんの重み」というやつでしょうか。物価が現在とは全く違いますので、この価格だけ見て判断してはいけないのでしょうが、それでも「安っ!」と思ってしまいませんか? 「今この値段で飲めたらなあ……」と思う左党の皆さんは少なくないかもしれませんね(笑)。

(高橋モータース@dcp)

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