袋小路に陥っている韓国経済ですが、こういうときは元気のある話がいります。暗い話ばかりしていると、明るい展望も出てこないものです。
韓国メディア『毎日経済』が面白い記事を出しています。「韓国の未来の食い扶持を稼ぐのはBTSだ」というのです。
このBTSは「防弾少年団」でありません。バイオ、テクノバレー、半導体だそうです。同記事から一部を以下に引きます。
韓国未来の成長エンジンとして浮上した「BTS(バイオ・テクノバレー・半導体)」が京畿道首都圏に根付いている。
18日、毎日経済・首都圏取材本部の調査によると、仁川の松島・永宗・南洞および京畿道の始興に、国策事業としてバイオ特化団地が設けられる。
2035年までに『サムスン・バイオロジクス』、『セルトリオン』、『SKバイオサイエンス』、『ロッテ・バイオロジクス』、『鍾根堂』、『一東製薬』が総額30兆7315億ウォンを投資する。
京畿道はこれを基盤として、核心バイオ・クラスターをさらに5カ所追加で造成する。
京畿道はまた、入居11年で総売上高100兆ウォンを達成した板橋テクノバレーの神話に続く、6カ所の新たなテクノバレーを構築する。
京畿道・龍仁では、2047年までに「半導体メガクラスター」事業の一環として、サムスン先端システム半導体国家産業団地に360兆ウォン、SK龍仁半導体クラスター一般産業団地に122兆ウォン、サムスン電子器興キャンパスに20兆ウォンと、総額502兆ウォンが投入される。
(前略)
韓国のバイオは基本「バイオシミラー」で、版権が切れた薬品を選定して生産するというもの。文在寅大統領時代に「K-バイオ」だー! と声高に叫んでいましたが、コロナ禍には全く役に立ちませんでした。

文在寅大統領時代にすでに言っていた「松島などにバイオ団地を造成」がまた注目されているわけです。
一般読者の方になじみがないかもしれませんが、「板橋テクノバレー」というのは、京畿道城南市に位置する大規模なハイテク産業団地です。「韓国のシリコンバレー」と称されることもある先端技術の集積地とされます。
開発が始まったのは2005年で、現在ではIT、半導体、バイオ、AI、ゲーム、モビリティなどの分野で多くの企業が拠点を構えるようになっています。
京畿道と『京畿住宅都市公社』が主導して開発を進めてきましたが、現在「第3板橋テクノバレー」を進行中です。2021年に着工し、2029年の完成を目指しています。約1兆7,000億ウォンが投入される予定です。
こちらは過去に成功した産業団地建設の続きです。
3つ目の「半導体クラスター」は、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領時代に提唱された「622兆ウォン突っ込んで世界最大規模の半導体メガクラスターを造る」という、目玉企画の残り火です。

こちらも目新しい話ではありません。
もちろん『SKハイニックス』や『サムスン電子』はそれぞれ勝算があって行っているのでしょうが、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が提唱したような規模にはなりません。物理的に実現不可能だからです(水と電気が足りない)。
――ですので「100年間、韓国の食い扶持を稼ぐ」という話に登場するのは、特に目新しいものではありません。
また重要なのは、投資した(産業団地を造成した)からといって、100年間食い扶持を稼いでくれるようなリターンが得られるかどうか、誰にも分らないという点です。

(吉田ハンチング@dcp)