「それは半導体やない。海苔や」なのですが、なぜか韓国では海苔の話が盛り上がっています。
何でもKを付けるのは文在寅大統領の時代に始まった習慣(?)ですが、最近では韓国メディアでも「K-フード」などという不可思議な「くくり」が平気で通用しています。
Money1でもご紹介してきたとおり、韓国の「海苔の輸出」は大きく増加しています。
韓国海洋水産部は、2024年11月26日に「海苔輸出2年連続1兆ウォン達成」を発表というプレスリリースを出しています。
この中で「2024年10月時点で過去最高の輸出記録(8.5億ドル)を更新したと書きました。
技術的に中国に追いつかれ、これまでの輸出品目が怪しくなっているので、海苔の輸出が増加するのがうれしいのでしょう。
韓国の海苔生産技術は日本人の努力賜物
もう何度だっていいますが、海苔の輸出が増加しているのは、世界的な日本食ブームがいまだ冷めず、その勢いを利用してのこと。
そもそも김밥(キムパプ)なるものも、日本併合時代に日本人が朝鮮半島に持ち込んだ「海苔巻き」が元です。また、海苔の養殖技術の開発も朝鮮総督府の努力によるものです。

個人名を挙げれば、『朝鮮総督府 水産試験場』主任技師・富士川きよしさん、全羅南道水試技師・金子政之助さんの素晴らしい功績です。
――ですので、日本由来のものをK-フードの代表格として韓国が推しているわけです。「日帝残滓の清算」と声高に主張する国として正しい態度でしょうか。
韓国の海苔価格は1.5倍になっている
韓国では海苔の輸出が好調なことに気を良くしていますが、実は価格が非常に上昇しています。
『朝鮮日報』が良きグラフにまとめています。以下に引用します。
上掲のとおり、海苔の生産量は減少しています。
2019年:60万5,767トン
2025年:55万1,516トン
――ですから、8.9%減少しています。
同期間に、乾海苔10枚当たりの価格は、「922ウォン ⇒ 1,384ウォン」と50.1%上昇しています。1.5倍になったわけです。
※ただし価格「1,384ウォン」は2024年10月時点。
生産量が減少しているのに需要は大きいわけですから、価格が上がるのは当然のことですが、価格上昇の理由には「韓国内で消費する分も輸出している」という要因もあります。
韓国内は深刻な「海苔不足」なのです。
――そこで。
海苔を備蓄するぞ! できるのそれ?
面白いことに、海洋水産部が「海苔の備蓄を行う」ことを検討しています。
まだ決定ではないので、公式なプレスリリースは出ていませんが、『KBS』の報道を以下に引きます。
海洋水産部は、本日(10日)、政府が海苔価格が安い時に買い入れて保管し、価格が大きく上昇した際に市場へ供給する方式の備蓄制度を導入するため、企画財政部と協議中であると明らかにした。
乾海苔の備蓄は、過去1979年から2006年まで実施されたが、価格の暴落や品質低下などを理由に中断され、その後ほぼ20年ぶりに政府が再導入に乗り出すことになった。
気候変動により漁業生産量の変動性が大きくなった上、輸出量が急増して国内供給も不足する恐れがあるため、海苔備蓄の必要性が高まったというのが海洋水産部の判断だ。
海洋水産部は、乾海苔備蓄のための予算増額について企画財政部と協議中である。
今年の水産物備蓄関連予算は1,751億ウォンですが、海苔のように養殖が可能な水産物は備蓄品目には含まれていません。
(後略)
浅学非才な筆者は知りませんでしたが、「1979年から2006年まで乾海苔の備蓄が行われていた」というのは驚きではないでしょうか。
面白いのは「価格の暴落や品質低下などを理由に中断」です。
乾海苔を品質を保持したママで長期間保存することなど可能なのか――は非常に興味があるところですが、品質低下を理由に中断――となっているので、やはりうまくはいかなかったものと見られます。
筆者は乾燥剤の超老舗メーカーさんに取材したことがありますが、海苔というのは乾燥剤なしには品質がすぐ悪くなってしまうそうです。
「20年ぶりに海苔を備蓄するかも……」としているのですが、品質保持がホントにできるのか? 韓国にそんな技術があるのかね?――は見ものです。
(吉田ハンチング@dcp)








