米韓「外交次官会議」開催。お互いに「遺憾の意」を表明。

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2025年09月14日(日)、韓国外交部の朴潤柱(パク・ユンジュ)第1次官とアメリカ合衆国国務省のChristopher Landau(クリストファー・ランダウ)副長官が会談を行いました。

以下は韓国の外交部が出したプレスリリースです。

米韓外交次官会談(09.14.)結果

朴潤柱(パク・ユンジュ)外交部第1次官は09.14.(日)、クリストファー・ランダウ(Christopher Landau)アメリカ合衆国国務省副長官と米韓外交次官会談を開催し、ジョージア州におけるわが国民拘束問題の解決およびビザ制度改善の協力、米韓首脳会談(08.25.)のフォローアップ、地域およびグローバル情勢について協議した。

とりわけ朴潤柱(パク・ユンジュ)次官は、会談の冒頭で、わが企業の勤労者が不当に合衆国内の拘束施設で甘受せざるを得なかった不便な処遇について言及し、当該勤労者らのみならず、わが国民が今回の事態により深い衝撃を受けたことに遺憾を表し、合衆国側がわが国民の不安を解消するための実質的な再発防止および制度改善措置を取らねばならないと強く要請した。

また朴次官は、先月の成功的な首脳会談と今回の拘束事態の初動対応直後に行われたランダウ副長官の訪韓は、フォローアップのための議論のみならず、米韓関係の堅固さを示す時宜を得た訪問であると評価した。

朴次官は、今回の拘束事態の解決過程で、米韓両首脳間に形成された絆関係と両国の互恵的協力の精神が作用したと評価するとし、具体的に、帰国者の合衆国再入国時に不利益があってはならないこと、ならびに韓国に特化したビザカテゴリーの新設を含む多様な方策の議論のための外交部—国務省間ワーキンググループの創設とビザ関連相談窓口の開設など、フォローアップ措置の履行に拍車をかけようと述べた。

これに対し、ランダウ副長官も今回の事態が起きるに至ったことについて深い遺憾を表明し、今回の事態を制度改善および米韓関係強化の転機として活用していこうと述べた。

特に、トランプ大統領もこの問題に高い関心を持っているだけに、帰国者が合衆国に再入国する際いかなる不利益もないようにし、今後いかなる類似事態も発生しないよう努力する、と述べた。

併せて、韓国企業の対米投資活動が合衆国経済・製造業の復興に対する寄与が大きいという点を痛感しているだけに、これを制度的に裏付け、韓国勤労者の貢献にふさわしいビザが発給されるよう、朴次官が言及したフォローアップ措置に関する実務協議をスピード感をもって進めようと述べた。

両次官は、09月の国連総会、10月のAPEC首脳会議など多様な国際行事の契機に、米韓のハイレベル外交日程についても議論し、種々の機会を活用して、前回の米韓首脳会談で議論された造船、原子力、先端技術などの未来志向的分野で、より進展した協力成果を導出することにより、両国国民が肌で感じられる実質的な恩恵を創出していこうという点で意見を同じくした。

両次官は、朝鮮半島および域内の経済・安保情勢についても意見を交換した。

朴次官は、韓米首脳会談で共感したところのとおり、北朝鮮を対話の場へと導き出すため、合衆国側がピースメーカー、韓国がペースメーカーとして、それぞれの役割を尽くしていこうと述べた。

これに対してランダウ副長官は、韓国の対北政策についてよく理解しているとし、今後も対北政策関連の緊密な共助を継続していこうと述べた。


↑趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官とランダウ副長官と会談を行っています。

一方、趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は本日の米韓外交次官会談に先立ち、ランダウ副長官を接見し、前例のない状況で朴次官と同時に合衆国を電撃訪問したと説明しつつ、今回の拘束事態が韓国、合衆国双方にWin-Winに帰結し得るよう、ランダウ副長官がフォローアップ措置に万全を期してくれるよう要請した。

あわせて、先月成功裏に開催された米韓首脳会談の契機に、両首脳間の合意事項が迅速かつ忠実に具体的措置として履行されるよう、ランダウ副長官が直々に目配りして見てくれるよう督励した。

添付:会談写真。以上。

⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「한미 외교차관회담(9.14.) 결과」

韓国と合衆国の両方が「遺憾の意」を表明していますが、双方の方向性が合致しているようには見えません。

●韓国外交部の枠組み
会談冒頭で「わが企業労働者が米国内の拘束施設で甘受せざるを得なかった不便な処遇」や、国民が受けた「深い衝撃」について遺憾を表明し、再発防止・制度改善を米側に強く要請。

併せて
「再入国時の不利益なし」
「韓国向けビザ・カテゴリーの新設」
「外務—国務省ワーキンググループ」
「ビザ相談窓口」

などの具体的フォローアップを提示しています。

●合衆国・国務省側の枠組み
ランドウ副長官は「今回の事態が起きたこと」に対して深い遺憾を表明(“deep regret over the incident”)。

ただし、合衆国当局の執行や処遇が不当だったと明示的に認める表現は見当たりません。

代わりに、
「これを制度改善・同盟強化の転機に」
「帰国者の再入国に不利益なし」
「ビザ運用の実務協議を加速」

など、前向き措置を約束するトーンです。

なにせ()なので国務省の会談のリードアウトは未掲載。

しかし、この韓国の外交部のプレスリリースを見る限りは、同じ“遺憾”でも指している対象と含意が異なる=いわゆる「フレーミングの非対称」が見えるのではないでしょうか。

ちなみに、ランダウ副長官がなぜ韓国を訪問したのかというと、外遊ツアーの一環です。

上掲の国務省のプレスリリースによると、

クリストファー・ランダウ国務次官は、2025年09月12日から18日まで、ソウル、ポートモレスビー、マジュロを訪問し、インド太平洋地域におけるパートナーシップと同盟関係の強化に対する合衆国の取り組みを強調する予定です。

ランダウ副長官は、国務次官として初めての大韓民国(ROK)および太平洋諸島への訪問で、ソウルで趙顕(チョ・ヒョン)韓国外相やビジネスリーダーと会談する予定です。

その後、ポートモレスビーに移動し、パプアニューギニア独立50周年記念行事に参加。

合衆国・太平洋諸島フォーラム円卓会議で太平洋諸島首脳と協議した後、マーシャル諸島共和国を訪問し、この重要な自由連合協定パートナーとの関係強化を図る。

本訪問は、合衆国が地域全体でパートナーシップ深化と共通優先課題推進に向けた継続的努力を体現するものである。
(後略)

インド・太平洋地域に対する合衆国のプレゼンスを体現するもの――なんて書いていますが、その最も「弱い」こそが韓国なのですが……。

(吉田ハンチング@dcp)

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