以前、韓国政府の財政について、大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんが行っていることは「義務支出」を増加させることであり、裁量支出がどんどん減って、マズいことになるぞ――とご紹介しました。
さすがに韓国メディアでもこれについての記事が出ましたので、ご紹介しておきます。
『ソウル経済』の記事から一部を以下に引きます。
政府の総支出に占める法的な支給義務のある「義務支出」の割合が、4年後には56%に迫る見通しとなった。
少子化・高齢化など人口構造の変化に伴い、社会保険支出が増加しており、国内総生産(GDP)に占める義務支出の比率も40年後には4分の1に達する見込みである。
「義務支出」とは、法令により支出義務が生じ、その規模が法律で決まる「法定支出」と「利子支出」を合わせたものである。
2回の補正予算を反映した今年の義務支出は364兆8,000億ウォンで、財政支出(703兆3,000億ウォン)の51.9%、GDPの13.7%を占めている。
(後略)
2029年には「義務支出」が支出予算の56%に達する――としています。
裁量支出(discretionary spending)……毎年度の予算編成で、政府と議会が裁量的に配分額を決定できる支出。必ずしも法的義務があるわけではなく、政策目的に応じて増減できる支出を指します。
例えばアメリカ合衆国では、義務支出(社会保障・医療など)が歳出の約2/3を占め、これに国債の利払い(Net利払い)を加えると、約3/4となり、裁量支出はおよそ1/4強しか残りません。
韓国政府の財政は、2025年段階で(2回に補正補正予算を組んで支出を拡大した)、義務支出は「51.9%」ですが、これが2029年には「56%」までいくと予想されています。
義務支出は、法的に出さなければいけないお金なので、これが増えると、支出予算のうち、増減できる裁量支出が減ります。
どうなるかというと、財政の柔軟性がなくなるのです。
いよいよ「八方塞がり」な状況に!
企画財政部は、
「義務支出の比重と規模の拡大は、超高齢社会入りに伴う4大公的年金および基礎年金の受給者増加・給付額引上げ、国家債務拡大に伴う利子支出の増加、そして社会的弱者支援強化による福祉分野の法定支出増加などに起因する」
――と説明しています。
「国家債務拡大に伴う利子支出の増加」については、端的にいって文在寅のせいです。
そもそも韓国の規模で600兆ウォン超えの支出など無理なのに、国債を刷りまくって負債を積み上げて予算を拡大し、利払いが異常増殖したためです。
アンポンタンの文在寅なんかを大統領に選んだせいなので、いわば韓国の皆さんの自業自得といえます。
「福祉分野の法定支出増加」については、人口急減による影響が大です。
日本より早く急速に老いていく韓国では、社会的なセーフティーネット、老齢年金や健康保険のシステムが維持できなくなります。
例えば、老齢年金を担当する『国民年金公団』によると、2025年06月末時点で、国民年金加入者は2,172万777人。
2022年末時点では「2,249万7,819人」だったのですが、この時点をピークに2年連続で減少しています。2025年上半期も減少傾向は継続。
一方、受給年齢に達する人口は増加しており、2025年06月末時点での受給者は747万7,660人。6か月で10万5,621人も増加しました。
つまり、老齢年金を支える人口は減少し、給付を受ける人口が急増しているのです。
どうなるかというと――もちろん国民年金基金にプールされた資金がやがてなくなり、「とって出し」で、それに公的支出から補填して支給する――という状況になるのです。
悲観的見通しでいえば、5年後あるいは8年後には基金のお金は枯渇する――という推測もあります。
人口学者というのは、ほとんど予測をはずしませんから、このような事態に陥るだろうというのは、ずいぶん昔から警告されていました。
しかし、韓国の歴代政権は年金改革などにほとんど手をつけず(国民負担を増やす改革になるので嫌われるから)、放置してきました。
嫌われてもいいからやらねば――と保険料負担の増額を決めたのは尹錫悦(ユン・ソギョル)政権です。
しかし、それでもシナリオはさらに悲観的なものに傾いています。
李在明(イ・ジェミョン)と国会の愉快な仲間たちがやるかどうか――です。生来のウソつきで天性のポピュリストである李在明(イ・ジェミョン)さんが、国民の不人気を得ながらやるとは思えません。
大統領任期が切れたら「では!」と、涼しい顔で去っていくのではないでしょうか。
韓国の皆さんはどうするつもりなのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)






