韓国建設会社・フィリピンで人権侵害に加担と非難 ⇒ 国際的に提訴されて産業通商資源部に飛び火。

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部長がアメリカ合衆国に入って、食わせ者のラトニック商務省長官と「相互関税の25%への回帰」を止めようとしております。

そんな中、韓国の産業通商資源部が非常に興味深いプレスリリースを出しました。

以下にその全文を一応和訳しますが、面倒くさいでしょうから、次の小見出しまで飛ばしてください。

OECD多国籍企業責任ある企業行動ガイドラインに基づく
『大宇建設』関連異議申立事件、調整手続進行決定

産業通商部(長官 キム・ジョングァン)は、2026年01月30日(金)、2026年第1回韓国NCP委員会を開催し、「OECD多国籍企業責任ある企業行動ガイドライン」に基づく大宇建設関連異議申立事件について、第1次評価を通じ、調整手続を進めることとした。

*(構成)委員長(産業部投資政策官)、政府委員3名(産業・気候・労働)、民間委員4名
** 第1次評価は、NCPが当事者間の対話を斡旋することにより問題解決に寄与できるか否かを判断する手続であり、被申請人のガイドライン違反の有無を判断する手続ではない。

『大宇建設』異議申立事件は、わが国政府がフィリピン政府に対外経済協力基金(EDCF)を支援して推進している建設事業に関連し、トゥマンドク先住民(先住民)、「ハラウ川のための民衆行動」および「企業と人権ネットワーク」(以下「異議申立人」)が、2025年09月に韓国NCPに提出したものである。

異議申立人は、フィリピン政府が建設事業実施地域に居住していた先住民の人権を侵害したとし、被申請人が当該建設事業の施工会社として、建設事業推進過程で発生した人権侵害を把握し、予防・緩和・救済するための人権デューデリジェンスを履行しなかったと主張した。

* ハラウ川ダムおよび灌漑施設建設事業であり、大宇建設は2018年9月にフィリピン政府と契約を締結し、工事を遂行

** 異議申立人は、フィリピン軍部がトゥマンドク先住民等に対する人権侵害を引き起こしたと主張

韓国NCPは、大宇建設と異議申立人との間の対話を斡旋することにより、問題解決に寄与する必要性があると判断し、調整手続を進めることを決定した。

ただし、フィリピン政府により推進される政府事業である点から、『大宇建設』の企業活動との関連性、責任範囲等が限定的である点を考慮し、双方間の合意を進めることとした。

今後、韓国NCPは、NCP民間委員等で調整委員会を構成し、両当事者が自発的に参加する調整手続を進め、双方の合意結果に関する最終声明書を公表することにより事件を終結する予定である。

* 調整手続は、関連規定に基づき、事件受付日(2025年9月30日)から12か月以内に終結

担当部署
投資政策官 責任者 課長 パク・ホンジン(044-203-4090)
海外投資課 担当者 事務官 ウィ・ミニ(044-203-4095)

参考 OECD多国籍企業責任ある企業行動ガイドラインおよび異議申立事件概要

□ OECDガイドラインおよびNCP概要
ㅇ(ガイドライン)OECDが多国籍企業に対し責任ある経営を奨励するために制定(1976年)した法的拘束力のない指針

* 人権、雇用・労使関係、環境、情報開示、競争、租税および科学技術など11分野に関する企業の責任ある活動の原則および基準を提示(1976年)

ㅇ(NCP、National Contact Point)ガイドラインの実効性を高めるため、加盟国政府に国内連絡事務所(NCP)の設置義務を付与(計52か国に設置)

主な役割は、

①ガイドラインの広報および教育、
②ガイドラインに関連する多国籍企業に対する異議申立事件を、調整手続を経て当事者間の合意へと導くこと

韓国は2001年に産業部内に設置し、NCP委員会および事件別調整委員会を運営
*(NCP委員会)委員長(投資政策官)、政府委員(3名、産業・労働・気候)、民間委員(4名)
** NCPの実務処理のため、大韓商事仲裁院を韓国NCP事務局に指定(2013年~)

韓国NCP異議申立事件の主な処理手続
申請
受付 ⇒ 第1次
評価
(90日以内)
・却下(終了) 調整
委員会
(12か月)
⇒(合意)結果公表
⇒ OECD
通知 ⇒ ⇒(不合意)終了(最終声明書)
・双方の主張+勧告(必要時)
・追加手続

☐ 『大宇建設』関連異議申立事件概要
ㅇ 受付日:2025年09月30日
ㅇ 異議申立人:トゥマンドク先住民、ハラウ川のための民衆行動(JRPM)、企業と人権ネットワーク
ㅇ 被申請人:『大宇建設』
* わが国政府がフィリピン政府に対外経済協力基金(EDCF)を支援して推進しているハラウ川多目的プロジェクト第2段階建設事業の施工会社(2018年09月、フィリピン国立灌漑庁(NIA)と契約締結)

ㅇ 申請内容:大宇建設のガイドライン違反(Ⅱ.一般政策、Ⅳ.人権)および履行のための斡旋提供要請

* フィリピン政府軍および警察が、建設工事に反対するトゥマンドク先住民に対する殺害・脅迫などの人権侵害を行ったこと、被申請人のフィリピン政府との協力中断および現地住民に対する被害救済等を要求

⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「OECD 다국적기업 기업책임경영 가이드라인에 따른 대우건설 관련 이의신청 사건, 조정절차 진행 결정」

フィリピンの建設プロジェクトで何があったのか?

フィリピンで進められている政府系インフラ事業があり、その施工会社が韓国の『大宇建設』です。


どのような事業かというと、フィリピン・イロイロ州カリノグ(Calinog, Iloilo)周辺で進められている Jalaur River Multi-Purpose Project Stage II(JRMP II:ジャラウル川多目的事業 第2段階)です。

フィリピン国家灌漑庁(NIA)の公表によれば、この「Stage II」の主要構成は大きく以下です。

ダム3基・貯水・関連施設
高ダム(High Dam)(NIAサイトでは高さ109mのダム等の記載)
アフターベイ・ダム(Afterbay Dam)(約38m級のダム)
キャッチ・ダム(Catch Dam)(Alibunan川に設けるもの等の記載)
灌漑施設群

これだけでビッグなプロジェクトであることが分かりますが――、

契約・施工
NIAと『Daewoo Engineering & Construction(大宇建設)』が契約し、2018年09月に契約締結が公表されています。

資金
NIAの事業説明では、総事業費の大部分を 韓国政府のEDCF(Economic Development Cooperation Fund) で賄う旨が説明されています。

要するに「大規模ダム+貯水+大規模灌漑(農業用水)」を中心とする国家級インフラ案件で、当初の事業予算は約112億ペソです。


ところが、この巨大プロジェクトで事件が起こります。

2020年12月30日前後、パナイ島でTumandok(トゥマンドク)先住民コミュニティーに対する大規模な強制捜査が行われ、死者と多数の拘束者が出ました。

「9人死亡」は多くの報道で共通しており、「16人(またはそれ以上)が逮捕」も複数ソースが述べています。

この事件を、当局側が「NPA(共産ゲリラ)関連」と位置付け、銃器の使用などは捜索令状に基づくものと説明。

要するに当局の行動と結果を正当化したわけです。

軍・警察側は「NPA(共産ゲリラ)が抵抗したので交戦になった」と主張しています。


人死まで出ていますので、当然ながら先住民(トゥマンドク族)に対する人権侵害があった――という申し立てが出ました。

構図としては――韓国政府のEDCF(対外経済協力基金)で韓国企業『大宇建設』が施工する事業で、先住民の強制移転・軍による人権侵害疑惑が持ち上がった――というものです。

フィリピンの国内問題であれば、(韓国にとって)まだ良かったのですが、それがOECD多国籍企業責任ある企業行動ガイドラインに基づき、韓国政府のNCP(後述)に正式提起されました。

海外での開発事業に従事している方ぐらいしか、恐らくご存じないでしょうが、OECDガイドラインでは、

各加盟国はNCP(National Contact Point/国内連絡事務所)を政府内に必ず設置しなければならない

――となっています。

企業に対する人権・環境・労働問題の申し立ては政府が公式に受領し、調整を行わなければならないのです。

韓国ではこのNCPが産業通商資源部内に設置されています。

つまり、

NCPが動いた=産業通商資源部が公式対応をした

という因果関係になるわけです。で、このようなプレスリリースを産業通商資源部が出すことになりました。


かつて韓国は中東でのインフラ開発案件に手を出しており、そのときにはいい加減な施工を行っていましたが、現在では(中国でもない限り)責任を放棄して逃げることなど、そうそうできません。

だたし、今回の事案でいえば『大宇建設』にも同情すべきポイントはあります。

先住民の皆さんの人権を侵害したのは、軍・警察ということになっていますが、このひどさをアピールしてもフィリピン国内では埒が明かず――「国際問題にしてしまえ」という圧が働いたのではないか――と思われます。

(吉田ハンチング@dcp)

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